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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

熟成のエモ。

Invented

Invented

 ジミー・イート・ワールド(JEW)約3年ぶりの7作目。ギターロック、ポップ/ロック系で僕が無条件に信頼を置くバンドはたくさんあるのだけど、その代表格を2つと言われたらファウンテインズ・オブ・ウェインとJEWを挙げる。彼らのアルバムを聞いて裏切られたと思ったことは一度もない。本作もまた素晴らしいアルバムで、幾度となくリピートして聞いている。
 本作では『クラリティ』や『ブリード・アメリカン』といった彼らのブレイクのきっかけとなった代表作を手がけたマーク・トロンビーノがプロデューサーに復帰しているが、単純に原点復帰という感じではない。過度な装飾は控え、最小限のサポートに徹しているという印象。本作は自分たちのスタジオで時間的な制約もなく自由に製作することができたそうだ。こういう場合、得てしてレコーディングに時間を費やしすぎ、ゴテゴテといろんな要素が詰め込まれたものになりがちだが、本作は非常にシンプル。デモテープのときのテイクをそのまま使用した曲もあるそうで、すごく生々しく臨場感ある演奏が聞ける。自分たちの音楽に自信がなければなかなかこういうことはできない。アコースティックな要素が多いのも本作の特徴だろう。そしてゲストとして参加しているコートニー・マリー・アンドリュースやレイチェル・ヘイデンの女性ボーカルが柔らかいアクセントを加えている。カドが取れたというよりは、成熟という言葉が相応しいアルバムになっていると思う。
 相変わらずメロディーは切なく胸キュンだし、単純なラブソングではなく、人生賛歌と言うべきポジティブな言葉が並ぶ繊細な歌詞も素敵だ。年輪を経て、それらはどんどん深みを増している。 シンプルになればなるほど、その核にあるエモーションがむき出しになる。それ自体がJEW最大の武器であり、魅力なのだと思う。