今だから四輪走行。
- アーティスト: カーズ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2011/05/18
- メディア: CD
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1988年の解散以降、リック・オケイセックはソロ活動の他、ウィーザーのプロデューサーとして一時脚光を浴びたが、それ以外のメンバーの活動はあまり日本には入ってこなかった。80年代MTVブームの中、魅力的なPVとアメリカ的なジャケットワークで人気とセールスを獲得したバンドながら、日本での評価や人気はあまり高くなかったと思う。シンプルでエッジの利いたロックンロールとポップなメロディー、それを絶妙なニューウェーブ感で料理した都会的なサウンドは当時チャートの最先端を走っていた。それが時代に追いつかれた感のある1987年の『ドア・トゥ・ドア』を最後に、カーズは走るのをやめてしまったのだった。
リックと共にヴォーカルを担当していたベンジャミン・オールが2000年にすい臓癌のために逝去し、再結成の可能性もなくなったかと思ったが、2011年にもなって残り4人のメンバーでカーズが再結成するなど、正直全く予想外の出来事だった。リックによれば今回の楽曲がソロではなく、どうしてもカーズの再結成を求めてきたからだと言う。その言葉通り、24年ぶりの新作はグッドメロディーとエッジーなロックンロールを持つカーズそのものであり、還暦を越えたリックのヴォーカルも溌剌としている。特に「ブルー・ティップ」「フリー」「ヒッツ・ミー」など、ジャックナイフ・リーがプロデュースした曲はキーボードの音色やシンプルなアンサンブルなど、全盛期のカーズそのままと言っていいものが多い。ジャックナイフ・リーにしろ本作のミックスを行ったリッチ・コスティにしろ、カーズをど真ん中で聞いてきたであろう世代の人たちだと思う。彼らのようにバンド本人よりもカーズのことを知っている世代のカーズへの愛情も本作の絶妙なスパイスとなっているように思う。
ベンジャミンの声が聞こえないことだけが寂しさを募るが、それ以外は嬉しい驚きと言っていい復活劇だ。この再結成が今回限りなのか、この先も続くのかはわからないが、これを機に再評価の機運が高まってほしいと思う。まずは1985年のベスト『グレイテスト・ヒッツ』からどうぞ。
- アーティスト: カーズ
- 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
- 発売日: 1989/12/21
- メディア: CD
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