神が降りた夜。
祭典の日(奇跡のライヴ)スタンダード・エディション(2CD+DVD)
- アーティスト: レッド・ツェッペリン
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2012/11/21
- メディア: CD
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確かにこのライヴ盤は素晴らしい。客のテンションはもちろんだが、ステージ上のメンバー(ジェイソン・ボーナム含む)全員の気合も相当に漲っていたことが伺える。年齢による衰えを指摘することも容易いが、問題はそれによってレッド・ツェッペリンとしての音の強度が損なわれているかどうか、ということだ。僕はそれは否、だと思う。もちろんパーフェクトではないが、ツェッペリンをツェッペリンたらしめていた「モノ(Presence)」が確実にこのライヴ盤には存在しているからだ。そして、それは過去のツェッペリン再結成ライヴにも、ペイジ&プラントにも感じられなかった、あるいは希薄だったことだからだ。
ツェッペリン独自の超合金のようなグルーヴは本人たちですら再現することが困難なものだった。80年代の頃は、自分達が集まればすぐにツェッペリンはできるさと思っていたフシがある(特にジミー・ペイジは)。しかしそうではなかった。それはボンゾがいないからとか、年を取ったとか、そういう問題ではなかったのだ。それを生み出したメンバーですらその前にひれ伏し、ストイックにプレイしなければならない程の絶対的なサウンド。ツェッペリンのロックとはつまり、それほど別次元の存在なのだ。それが「降りてきた」この日のライヴは確かに音楽の神に祝福された一夜だったのだと思う。そしれこれは決して偶然ではなく、この音を追い求めた4人の謙虚でストイックな姿勢が呼んだものなのだろうと思うのだ。
ジミー・ペイジ、J・P・ジョーンズ、ジェイソン・ボーナムの3人はこの日のために相当なリハーサルを積んだという。無心の境地に至って初めてこの音を鳴らせたのだとすれば、確かにツアーなど無理な話だろう。なぜこのアルバム、そして映像が出るのに5年もかかったのかはよくわからないけれど、体験できてよかった。ツェッペリンの音に一度でも魅せられたことがある人なら、必修として視聴しておくことをお勧めする。