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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

「人間なめんな」の傑作SF。

■オデッセイ
■監督:リドリー・スコット ■出演:マット・デイモンジェシカ・チャスティン、ジェフ・ダニエルズ

ソングス・フロム・オデッセイ

ソングス・フロム・オデッセイ

 アンディ・ウィアーのベストセラーSF小説『火星の人』をリドリー・スコット監督が映画化。探査中の事故で火星に取り残された宇宙飛行士が、孤独なサバイバルを繰り広げる一方で、それに気付いたNASAが決死の救出ミッションに挑む。
 絶望的な状況を頭脳とスキルで乗り越え、火星からの生還を目指すサバイバルものだけど、悲壮感が全くない。常にユーモアを忘れず、パニックにもならず、淡々と目の前の状況に対して対策を考え実行する主人公の姿に引き込まれる。主人公も、地球で対策を考えるNASAの面々も、皆やるべきことをきちんと考え、それぞれの立場で最善を尽くす。主人公が窮地に陥る原因が災害とか不運とかどうしようもないことであって、「誰かバカな奴の自分勝手な行動」じゃないのですよ。だから見ていてとても気持ちがいい。いろんな人がすでに指摘してるけど、本作で中国の技術局が出てくるのはハリウッドの中国進出によるマーケティング戦略ではなくて中国のロケット技術が高いからなんですよね。70年代のディスコミュージックが全編を彩っていて、その曲の内容がその時々のシーンとリンクするようになっている。最近では『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でもあったやり方だけど、こういう手法はまた流行ってきそうですね。本作のラストでオージェイズの「ラブ・トレイン」が流れるのがとてもいい。「世界中の皆、手に手を取ってラブ・トレインを走らせよう」「次の停車駅はもうすぐさ ロシアや中国の人にも伝えよう」「この列車に乗る時が来たんだ この列車をずっと走らせ続けよう」。アメリカと中国が協力し、一人の宇宙飛行士を救出するのを世界中が注目する。そんな映画のラストに流れるのがこの曲ですよ。感動するしかないでしょう。
 「人間なめんな」って思うし、元気もらえる映画でした。『ゼロ・グラビティ』『インターステラー』そしてこの『オデッセイ』と、宇宙のロマンと人間の素晴らしさを描く傑作が最近毎年作られてるのはいいことだと思います。


The O'Jays Love Train

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

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火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

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