無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

バトル・ロワイアル

バトル・ロワイアル 特別篇 [DVD]

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 成人式で新成人のバカさ加減に市長やら知事がキレたというニュースを見てると、こういうバカどものためにもBR法は必要なのかも、などと妙なリアリティを感じてしまう。なんてことはないか。
 演出にスピード感があってよい。以前『いつかギラギラする日』を見てすげえ爽快、と思ったものだけど、この映画もアクションの連続の中に絶妙の緩急があって、監督これで70才かよと思うような冴え方。こういう映画をもっと若い人が撮れたらいいのに。ただ、クラス42人の殺し合いを2時間弱で全て描くにはやや無理があったかもしれない。ホントなら一人一人のドラマをもっときちんと描くべきなんだろうけど、一人また一人と死んでいく様がダイジェストのようで、、ちょっともの足りない気がした。きっとあのブ厚い原作では違うんだろう、と思って原作を買いましたよ。これを読んで補填するとしましょう。藤原達也をはじめ若い役者の演技も良いのだけど、やっぱり存在感があるのはビートたけし。彼をキャスティングした時点でこの映画は半分成功したようなものだったろう。劇中でたけし演じる教師が描く絵も実際にたけしが書いたもので、これがまたいい。ダメな大人のダメさ、情けなさ、悲しさ、行き場のなさ。全てが象徴されてる素晴らしい絵だ。ダメな大人をたけしが完璧に演じたことで子供=大人の対比がすごく良く出ている。
 なぜこの映画がR指定になったのかが僕にはわからない。よくできた、単なる青春映画だ。ラストシーンは希望に溢れている。ドラゴンアッシュによるエンディングテーマも、素晴らしくハマっていた。