無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

UKの新星、MY VITRIOL

Finelines

Finelines

 久々にUKからいい風が吹いてきた。マイ・ヴィトリオールのデビュー作。これはいい。陰りのあるノイズギター、スケール感のあるメロディー、迫力のドラム、とにかく聞き所の多い快作だ。スリランカ出身のボーカル、全作詞作曲を担当するサム・ウォードナーがいい。『JOJOの奇妙な冒険』にでも出てきそうな濃いい顔立ち。ちょっと憂いを含んだ声。これでシャウトされるとまたたまらない。存在感のあるフロントマンである。
 1曲目のインストナンバーから、2曲目"Always Your Way"のイントロに突入する瞬間。背筋に電気が走る。何回聞いても血液が沸騰するようだ。こんな瞬間を演出できるスケールのUKのバンドはホントに久々だ。たたずまいもあんまりチャラチャラしてないし、ちょっとダークでぶっきらぼうな感じというか、そんなところも個人的にはいいと思う。ちやほやされることを避けるような、一本筋の通ったバンドという感じがする。
 まだまだこんなモンじゃないだろう。もっとすごいものを見せてくれる、もっとすごいことをしてくれる、そんな期待感がプンプンしてくる。「硫酸」なんてバンド名もクールじゃない?アット・ザ・ドライヴインが活動休止という寂しいニュースを聞いた今、こういうバンドに出会えたことは嬉しい。ギターロック不況の時代は終わりを告げる、のだろうか?(個人的にはそんなのどちらでもいいのだけど)