無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ガースー in 札幌。

スガシカオ Shikao & The Family Sugar TOUR'05
■2005/01/14@北海道厚生年金会館
 前回のシングルコレクションツアーは、当時の感想にも書いたように彼にとっては非常に特殊な企画であって、必ずしも彼の音楽の全体像をステージで表現できる場ではなかった。そういう意味で、新作『TIME』を引っさげてのこのツアーはまさに最新型のスガシカオをダイレクトに伝えることのできる久々のツアーとなるわけだ。アルバムの感想でも書いたように新作は確かにいいアルバムではあるけれどサウンドとして驚くような新機軸があるわけではない。バックを務めるメンバーもおなじみのメンバーであり、嫌な言い方をすればハズレのない安心型ライヴと思って見に行った。もちろん演奏面では文句のないいいライヴだったし、それはそれで予想の範疇ではあったのだけれど様々な小細工というかイベントが2時間の中にいろいろ用意されていて、客を飽きさせない工夫がされていた。多分あまり彼の曲を聞いたことのない一見さんでも十分楽しめるものだったと思う。
 中盤のアコースティックコーナーではコーラスのお二人(アマゾンズだったんだ!知らなかった。)と「アシンメトリー」を演るというなかなか今まで見たことのない選曲だった。「かわりになってよ」〜「性的敗北」というのも個人的にはなかなか珍しいのではないかと思う。『4FLUSHER』からの曲は「Affair」以外最近あまり演奏されてなかったと思うし。そしてこの2曲をはじめ、後半はかなり濃いい曲がそろったのだけど、振られてしまうシチュエーションの「クライマックス」、タイトルそのままの「イジメテミタイ」など、責めと受け、SとMがめまぐるしく入れ替わるカウンター攻撃に否が応にも興奮させられていく。そして本編ラスト、最強の泥沼ソングである「Thank You」でスガワールドは強引に完結させられてしまうのである。正直、これはかなりエグい構成だと思うのだけど、会場を埋める多くの女性ファンはキャーキャー声援を送るのだ。わかってるのだろうかこのヤバさを。スガシカオ自身のちょっとチャラいキャラクターやMCもそれを助長しているような気がする。このギャップは個人的にはイマイチ苦手なのである。それがスガシカオらしいといえばそうなのかもしれないが。
 アンコールは、会場の中からスガシカオが指名した人が用意されたメニューの中から番号で選ぶという、なかなか面白い趣向だった。今回指名された人はそれなりに深いファンだったようだ。「夕立ち」などというかなり渋い曲を選んだ半面、ラストに「このところちょっと」できちんと王道パターンで閉めていた。すごく楽しめるライブだったのだけど、やはりスリリングという意味でのサプライズは少ない。良くも悪くもライブがパターン化している気がする(これ半分は客のせいでもあると思う)。たまには小さいライブハウスを回ってみるとかしてもいいのではないだろうか、と思った。

■SET LIST
1.カラッポ
2.夜明けまえ
3.秘密
4.光の川
5.アクビ
6.魔法
7.青空
8.アシンメトリー
9.愛について
10.風なぎ
11.アーケード
12.サナギ
13.June
14.かわりになってよ
15.性的敗北
16.Go!Go!
17.SPIRIT
18.クライマックス
19.イジメテミタイ
20.Thank You
<アンコール>
21.夕立ち
22.ストーリー
23.このところちょっと