無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2005 in EZO〜(5)四十にして惑わず。

■2005/08/20@石狩湾新港
 民生。春先のツアーでは新しいバンドが始動したばかりでかなり演奏にばらつきもあったのだが、今回見た限りではかなり安定感が増していた。とは言え、ギターが一本減ったことと、小原・湊のリズム隊が古田・根岸隊とかなりスタイルが違うので以前のバンドとは根本的に音の組み立て方が違う。当たり前だけど。簡単に言えば引き算のアンサンブルになっている。元々民生は誰と組んでも無駄に音をかぶせていくことはしないミュージシャンであるけれど、このメンバーでは特にそうだ。「ギブミークッキー」「快楽ギター」から始まる『comp』モードセット。このときはタイトル不明だったけど、新曲「トリッパー」も披露された。「プライマル」でクライマックスを迎え、ラストは「船に乗る」。こうしてみると、「さすらい」が蛇足のように思えてしまうセットだった。
 連れに合流しようと思いちらっとグリーンオアシスに寄る。ちょうどゴンチチの最中だった。昼に見たDEPAPEPEの父親的なコンビである。テクニックをひけらかすのではなく、非常にひねくれたポップセンスで独特の空気を作り出していた。ベテランの妙味。飯を食おうと徘徊していたらテントの間をBlack Bottom Brass Bandが練り歩く風景に遭遇。にぎやかだ。そういや、ほとんど天気が悪かった今回のフェスだが、時折晴れ間がのぞくこともあり、この日の夕方には一瞬こんな夕焼けを見ることもできた。
  
 アーステントに行くとライムスターに忌野清志郎が飛び入りして「雨上がりの夜空に」をやっていた。そんなことしなくていいのに。スリランカカレーを食って夜に備える。連れは今年こそLOOPA NIGHT完走すると息巻いており、体力温存のためテントに戻る。僕の方はフィッシュマンズにかなり後ろ髪引かれながら、アーステントでピーズ待ち。
 初っ端から「シニタイヤツハシネ」「サイナラ」「生きのばし」とぶちかます。アビさんのギターがざっくりトガっていてたまらん。「日が暮れても彼女と歩いてた」「ミサイル畑で雇われて」と続き、さらに「バカになったのに」「ドロ舟」「しげき的な日々」。新作レコーディングがかなり濃いものだったらしく疲れたようだが、来てよかったとはるは言っていた。この日のステージもかなりテンションが高いもので、新作の充実ぶりがうかがえた。その新作から「ノロマが走って行く」。クライマックスは「とどめをハデにくれ」。僕も飛び跳ねまくり。ラストは「グライダー」。40才を目前にしていろんな事をあきらめたがゆえに腹をくくったのだろうか。復活以来今のピーズが最も漲っている気がする。
 アーステントはここで休憩。一度テントに戻って一度体勢を立て直す。まだまだ夜はこれから。