早熟なる円熟。
- アーティスト: 宇多田ヒカル,Yamada Masashi
- 出版社/メーカー: EMI Records Japan
- 発売日: 2006/06/14
- メディア: CD
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幸せとか不幸だとか
基本的に間違ったコンセプト
お祝いだ、お葬式だ
ゆっくり過ごす日曜の朝だ
「うそも本当も口を閉じれば同じ」と歌った16歳の頃から、その歌の世界観は基本的に変わっていない。むしろ人生経験を積んだことで、その視点はどんどん深く、そして覚めていっている(僕は以前、「彼女に足りないのはセックスの要素だけだ」と書いたことがあったが、今に至ってはそんなところすら超越してしまっている)。1stアルバムからこの人の進んできた道程は1直線である。ぶれていない。非常に稀有なアーティストだと思う。(実際はいろいろあるのだろうが、音楽として現れる時点では、という話)3年前のシングル(「COLOR」)が収録されているのに、浮いて聞こえないところからも、彼女の曲作りが一貫していることが伺える。
日常の些細な風景を叙情的に切り取ってそれらしくきれいに歌うだけの歌手なら掃いて捨てるほどいる。しかし、そこから人生の暗黒面を掘り出して真実を突きつけるような(そしてそれだけしか歌わない)アーティストが、どれだけいるだろう。しかもそれが万人に開かれたポップスとして巨大なセールスを記録するわけである。もはや犯罪に近い。人生経験を積んだ、といってもまだ彼女は23歳である。ヘタすれば新社会人か、くらいのものだ。こんな新人がもし部下として入社してきたら、仕事しにくいだろうなあ、と思う。(サラリーマンですみません。夢がなくて。)