無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

日本一の無責任バンド。

komedia.jp(初回生産限定盤)(DVD付)

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 昨年の大復活祭からすでに1年。期間限定の再結成から、限定を解除してじっくり作りこんだ復活アルバム。再結成後のシングルを全て収録した全16曲の大盛りアルバムとなっている。全体のサウンドとしてはフラッシュ金子がサウンドプロデュースを手がけており、後期の米米にあったようなスムースで聞き心地のよいポップ・アレンジが主体。しかし、その中に初期の猥雑さを思わせるアレンジや、「くされ縁」「ロシアン・ルームメイト」のような冗談に近い曲もあり、昔からのファンにはほっとする部分も多い。「スゴクおいしい」はどこか「FUNK FUJIYAMA」を思わせたりもする。しっとり系の曲ではカール・スモーキー石井の艶っぽいボーカルが冴えまくっているし、ブランクをまったく感じさせない米米印のポップス満載のアルバムになっている。
 「BRIDGE(Vol.54)」のインタビュー記事を読むと、この再結成はメンバー全員が諸手を挙げて賛成というものではなかったことが伺える。それぞれがどこか不安を抱えての出発だったようだ。しかし、その不安が確信になった瞬間があったからこその期間限定解除だったわけで、それは何かというと、やはり昨年のライジングサン〜再結成ツアーでの歓迎ムードと、その中でバンドの手ごたえが「イケる」というものだった、ということなのだろう。つまりは単に懐かしいから歓迎されて良かった、というものではなく、こういうエンターテインメントをやっているバンドなんて他に無いじゃないか、というものだと思う。今の日本はロックバンド飽和状態ではあるが、彼らのようにステージでのコンサートをひとつのショウとして完結させるために様々なディテールに懲りまくるバンドは非常に少ない。GパンにTシャツでカジュアルにロックを楽しむ今のバンドがお笑いブームの漫才やショートコントだとしたら、米米のやっているのは緻密に練り上げられ、過酷なリハーサルの末に完成されるドリフターズのコントのようなものだろう。そういうものへの需要がある、と感じたからこその活動継続だったのではないかと思う。デビュー時からのファンとして、その決断は正しいと思う。だっていないでしょう、今。バカバカしいことにどれだけ命賭けれるかみたいな勝負しているバンド。
 しかし、再結成お祝いムードがなくなったこの後、彼らがどういう活動をするかがキモだと思う。いい大人が本気で遊び、真剣にふざける姿がどれほどカッコいいものか、ぜひ日本中のロックファンに知らしめてやってほしいと思う。