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- アーティスト: レディオヘッド
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2000/09/27
- メディア: CD
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新作『KID A』。歪んだギターは電子音に代わり、トムのボーカルもエフェクト処理され、楽器音のひとつとしてサンプル処理される。感情がない、と言われるこのアルバムだけれども、その電子音の肌触りがこうまで暖かいのはなぜだろう。こんなに気持ちよい音楽なのはなぜだろう。そして、よく聞くとどの曲にも素晴らしくエモーショナルなメロディーが流れていることに気づくと思う。それはどうしてなんだろう。彼が外界を拒否して、隠遁生活に入り、自分の気の向くままで音楽を作りつづけたいと言うのならこんなアルバムにはならなかったと思う。このアルバムは過去のレディオヘッドのアルバムにくらべても格段に分かりやすい。誤解のしようがない。「すべてがあるべきところにある」アルバムなのだ。この音は聞き手の思いを欲している。拒否したはずの「共有」と言う名の幻想を、今だ柱の影から覗き見している、そんなアルバムだと思う。音の外観は変わっても、根底にある思いは変わらない。逆に僕はこのアルバムを聞いて安心したのだ。そして発売から1ヶ月以上たった今も、狂ったように聞きつづけているのだ。柱の影にいるトム・ヨークを横目で見ながら。
トム・ヨークは、レディオヘッドは、どこまでもロックである。