無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ロックな音。

UMBRA

UMBRA

 ヘヴィー。とことんヘヴィー。重い重い。はっきり言ってこれはダンスミュージックじゃない。これじゃあ踊れない。ダンスはうまく踊れない。なつかしい。なんでこんなに重いのか。主張しているからだ。生きる意味を。音楽の理由を。なぜこの音を鳴らしているのかを。ダンスミュージックの機能性を排除してでもそれをしっかりと音楽に乗せなくてはいけなかったからだ。要するに、これはロックなのだ。以前渋谷陽一氏が「ロックとは自らと周りの世界との摩擦係数のようなものだ」と書いたことがあったが、その意味から言ってもまぎれもなくこのアルバムはロックだ。ここで鳴るノイズは今の日本、日本のミュージックシーン(特にダンス/クラブシーン)に対する苛立ちそのものだろう。それは日本を離れてロンドンで生活する彼らだから鳴らし得たものなのかもしれない。音だけでここまでメッセージを発する音楽はそうそうないと思う。
 個人的なベストトラックはチャックDをフィーチャーした4曲目。言葉と音のツープラトンで発せられるフラストレーションの爆発。要するに「引っ込んでろタコ」という明確なメッセージ。カッコイイ。