無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

eastren youthがくれるもの。

eastern youth 極東最前線/巡業〜進め!遍歴の騎士〜
■2004/10/01@札幌ペニーレーン24
 ライジングサンから1ヶ月半、新作のツアーで再び札幌に戻ってきたイースタンユース。単独のライブとしては結構久々なはず。地元なだけに顔見知りも多かろう会場内はリラックスしつつも今か今かと待ちきれない様子。
 フェスと同じく、新作から「街はふるさと」でスタート。同じく新作から「大東京牧場」に続く。新作は素晴らしい内容だったが、それがしっかりと聞き手に届いていることが伺えるような確かな手ごたえを感じる。続いては懐かしい「鉛の塊」そして「踵鳴る」のカップリングだった「ギラリズム夜明け前」と、ややマニアックな選曲。しかしやっぱりいい。「ギラリズム〜」のイントロが鳴った瞬間うおおとどよめく会場。基本的にこういうファンが多いんじゃないのかね、イースタンは。その中の一員であることが誇らしくなってくる、そんなファンの姿。吉野のMC。北海道は帯広という町の出身である彼は、とにかく何もない町がイヤでイヤで仕方がなくて一日も早く出て行きたかったのだそうだ。帯広空港から飛び立つ飛行機を見ながら「あれに乗れば俺もどこか遠い、今よりも素晴らしい所へ行けるんだ」と思っていたと。しかし実際飛行機に乗ってみても何も変わらなかった。結局自分が飛ぶしかないんだ。そして「JET MAN」へ。ここからライヴは一気に怒涛の展開を見せる。ここの印象的なMCからの流れに象徴されるように、イースタンというバンドの、そして新作『DON QUIJOTE』のテーマと言える男の生き様、そしてそれを何も恥ずかしいことなく真っ直ぐに曝け出すこと。それを真空パックしたような一気呵成の展開だったのだ。特に「DON QUIJOTE」、そして「矯正視力〇.六」から「敗者復活の唄」の流れはやばかった。泣いてた。何回だってやり直す。人生にたらればはないし、時間を戻してやり直すことなんて出来はしない。しかしそれでももう一度やり直そうと思える勇気がこの曲を聞いてると出てくる。「雨曝し〜」、そしてこれも懐かしい「いずこへ」でクライマックスの盛り上がりのまま本編終了。たったの11曲、と思うかもしれない。が、吉野自身も言っていたが問題は曲数じゃないのだ。この時間の中で何を受け取ったか、ということなのじゃないか。イースタンの場合その密度はものすごく濃い。
 アンコールは「静寂が燃える」で盛り上がった後、やや長めのMC。ラストはじっくりとかみ締めるような3人の阿吽の呼吸のイントロ。そう、「夜明けの歌」。僕はこの曲が入っている『感受性応答セヨ』が出た当時仕事で札幌を離れていていつ戻れるか全くわからない状態だった。あるとき夜明けの代々木公園のベンチに座りこの曲をヘッドホンで聞きながらわけもわからず号泣したことがある。オレにだって夜明けは来るじゃないか。明日も明後日も夜明けは来るじゃないか、と思った。何回だってやり直すさ。この日も最後にまたひとつ勇気をもらった。僕にとってイースタンというのはこういうバンドなのだ。

■SET LIST
1.街はふるさと
2.大東京牧場
3.鉛の塊
4.ギラリズム夜明け前
5.JET MAN
6.DON QUIJOTE
7.暁のサンタマリア
8.矯正視力〇.六
9.敗者復活の唄
10.雨曝しなら濡れるがいいさ
11.いずこへ
<アンコール>
12.静寂が燃える
13.夜明けの歌