明日なき迷走。
- アーティスト: Libertines
- 出版社/メーカー: Rough Trade
- 発売日: 2005/01/25
- メディア: CD
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「頼むから俺を誤解しないでくれ/歌の中ではお前を許してきた」「俺たちが抱いてきた夢はどうなった?永遠の約束はどうなった?」こんな言葉をカールとピーターは二人で歌うのだ。二人でだ。いや、そもそもお前ら自分たちの置かれた状況をわかってるのか?と言いたくなる。自分の心にぐっさり刺さるような、自分たちのすれ違いそのものみたいな歌を二人で(!)歌うのだ。この痛々しさ、涙腺破壊力はこいつらちょっと気が触れてるのじゃないかと思うくらいのヤバさである。傷つきながら、血みどろのままその場でのた打ち回り、目隠しのまま疾走するロックンロール。いつまでたっても交わらない、loveとhateのらせん構造。
ロックンロールのマジックとは、簡単に言えば1+1=2ではなく、3にも4にも10にもなるところだ。しかし今のカールとピーターは1+1=2どころか2 乗して-1になる虚数のようなものだ。どこでどう間違ってしまったのか。しかし僕はそれでもこのアルバムは未来への希望であると思う。完成したこと自体が奇跡のようなアルバムだからだ。やり直すことはできなくても、新しく始めることはできる。そう信じたい。ロックンロールに選ばれたものにしか生み出せない生身のドキュメンタリーがここにはある。あまりにも過酷な運命に翻弄されながらそれでもロックにしがみつき、お互いを愛し、求め、それでも交わらない二人。この儚い光をもう少し見ていたい。もう一度強く光ることを信じて。