無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

Mundi Renovatio(世界は生まれ変わる)。

chatmonchy has come

chatmonchy has come

 徳島出身・在住の3ピース・ガールズ・バンド。という情報だけだとどこか素朴でキュートなイメージかと思うが、音聞くとかなり面食らう。かなりざっくりした音で、演奏には粗もある。が、「この程度でいいか」的な甘えが全くない。ギターもベースもドラムもストレートにかなり太っとい音を志向してることがわかる。しかし彼女らのたたずまいは全くもって普通。それこそ、前述のように素朴な感じである。徳島という決して都会ではない(失礼)地方で、普通に生活する22、3歳の女の子の姿が歌詞にも現れている。そう、普通の女の子が普通に楽器持って普通に歌っているのにここまでポップであり、ロックであることがすごい。
 1曲目の「ハナノユメ」を聞いただけでもこのバンドの異常なまでのポテンシャルが迸っている。先に述べたように音は本格的に太く、そして歌詞やメロディーはこの上なくポップで、ボーカルの息継ぎやフレーズ間の声の裏返り方まで、全てがあるべきところにあるとしか言いようがない奇跡的な瞬間。何年か前にもこんな清々しいバンドのデビューに出合った記憶があるなあと思った。そのバンドは「cream soda」「Lucky 」などの名曲で同じような奇跡を起こしていた。この、チャットモンチーのデビューミニアルバムにサウンドプロデューサーとしてクレジットされているのはそのバンドのメンバーであったいしわたり淳治だ。そのバンド、スーパーカーも青森という辺境(失礼)から出てきたという点では共通する。そんなこじつけもしたくなるほど、僕はチャットモンチーの登場に日本のロックシーンのサイクルというものを感じてしまう。大きな輪が一回りして、ここからまた何か始まるんじゃないかという予感がすごくする。根拠?無いけど。