悪魔を憐れむ歌
- アーティスト: Babyshambles
- 出版社/メーカー: 東芝EMI株式会社
- 発売日: 2005/11/07
- メディア: CD
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このピーター・ドハーティのバンド、ベイビー・シャンブルズのデビューアルバムは、そんな状態に光をもたらす吉報であったはずだ。もちろん、そのように受け取っているファンも多いと思う。しかし、ここに収められた瓦礫のような音楽は、僕にとってはひとつの物語の終わりを決定づけるものでしかなかった。クスリでボロボロになろうとも、ピーターという人の才能は悲しいほどにこのアルバムから見えてきてしまう。全編ではないが、そういう瞬間が間違いなくある。でも、今の彼はその才能を磨き、伸ばし、自分が生み出した音楽をさらに輝かせるための努力を放棄してしまっている。ろれつの回らないボーカル。意味不明な歌詞。それがボロ雑巾のようなバンドの音で、あまりにも美しいメロディーに乗ったとき、僕はロックンロールという音楽の残酷さを前に立ちすくんでしまう。なぜ神はこの男にこのような才能を与えてしまったのか。
聞くほどに生々しく、激しく哀しい。ロックンロールしかすがりつくものがなく、しかしそのロックンロールすら裏切ろうとしている男の末路。