無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

千の風になって。

Dragon Ash Tour Rampage
■2011/01/29@SHIBUYA-AX
 時間きっかりに客電が落ち、大歓声が起こる。最初に出てきたのは公募で選ばれたというオープニングアクトの秘密ロッカーというバンド。ボーカルとドラムが女の子の男女混成バンドで、メロディーらしいメロディーはないがとにかくテンション高く苛立ちをがなり立てる、という感じのバンド。ドラムの子がすっごい形相でパワフルに叩きまくっていたのが印象的。
 18時45分にDAのライヴ開始。『MIXTURE』を引っさげてのツアー、スタートを飾るのは渋谷AX2Days。僕が見たのは2日目になる。『MIXTURE』のイントロをBOTSが鳴らし、メンバーが順に登場する。そこから「Rampage」になだれ込むという、アルバムと同じ冒頭の展開。初日ではないとは言えまだ固い部分があるんじゃないかと思ったけど、初っ端から完璧な演奏でアゲてくる。新作の曲を中心に、要所要所で過去の曲を織り交ぜるというセットだったが、今回セレクトされた過去曲のキモは「Revolater」だと思う。新作のテーマである「ミクスチャー」というのは、アルバムの感想でも書いたけれども単にサウンドの方向を示すものではなく、もっと深い、言ってみれば精神的なあり方を示すキーワードであると思う。その両面においてDAが過去最もアグレッシブだった『Lily of Da Valley』の曲をやるというのはある意味このツアーにおいての必然だとも言えるだろう。
 「Sky is the limit」では10-FEETのTAKUMAが登場し、kj以上にフロアを煽る。ここが最初のピークだったと思う。「Ambitious」でさらに熱くさせた後、「Morrow」「Fire Song」でしっかりと自分たちのメッセージを伝える。この緩急も絶妙だった。「Dear Mosh Pit」では、冒頭のシンガロング部分の歌詞がステージ後方のスクリーンに映し出される。観客みんなで歌い、そして一気にサビへとなだれ込む。「百合の咲く場所で」から「Fantasista」の流れは鉄板で、何度目かのピークを作る。そして、「Slash」、SATOSHIとKO-JI ZERO THREEを迎えての「ROCK BAND」と続き、祝祭的なムードも頂点を極める。本編ラストは「Time of Your Life」をじっくりと歌い上げたが、この曲は絶対にこの位置でなくてはならなかったのだろう。
 先の「Dear Mosh Pit」に限らず、kjが歌わずに観客に任せてしまう場面が何度もあった。全曲、観客は大合唱でそれに応えるのである。スクリーンに歌詞が映し出されなくても、一語一句間違えずに歌う。それを聞いているkjは本当に嬉しそうな、満足そうな表情を浮かべるのだ。アルバムの感想で僕は「彼らがこの10年間積み上げてきた音楽的なチャレンジと成果の全てがここに詰め込まれている」と書いた。それはライブにしても同様で、この観客との密なコミュニケーションこそがDAが常に観客に向き合い、共に戦ってきたという証ではないかと思う。「Sociable Destruction」の歌詞には、「俺たちは百の敵を作り、千の仲間と共に進む」とある。これこそが、DAの歩みの全てを物語っているのではないだろうか。アンコールの「Iceman」の時はAメロを丸々観客に投げていた。その時のkjが、この日一番いい顔をしていたと思う。

SE.Intro(MIXTURE)
1.Rampage
2.Sociable Destruction
3.Mixture
4.Revolater
5.Invitation
6.Economy Class
7.Sky is the limit feat.TAKUMA
8.Ambitious
9.Morrow
10.Fire Song
11.Dear mosh pit
12.La Bamba
13.Rebels
14.Canvas
15.百合の咲く場所で
16.Fantasista
17.Slash
18.Rock Band feat.SATOSHI,KO-JI ZERO THREE
19.Time of your life
< アンコール>
20.few lights till night
21.繋がりSunset
22.Life goes on
23.Iceman
24.運命共同体