無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

トムとジェリー。

グリーンマイル [DVD]

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 いろんな前評判は聞いていたが、そういうものを排除して見てみればなんとも普通に感動できる映画だった。良くも悪くも普通。確かにうるっと来る瞬間はあるけれども、爆発的にだあっと来るわけではない。ストーリーも登場人物もなんというか、適材適所というか、破綻する要素がない。監督も普通にその素材の良さを見極めて仕事したという感じ。何とも冷めた言い方になってしまって嫌だけど、終わってみれば確かにいい映画だったとは思う。うん。長いけど、あまりそうは感じなかったし。
 一番良かったのはトム・ハンクスでもマイケル・クラーク・ダンカンでもなくネズミだったというのは多分観客の大多数が思う感想だと思う。いい「演技」してたなあ。はっきり言って、トム・ハンクスの泣きそう顔演技ってそろそろ飽きてきたというか、ちょっとおなかいっぱいって感じである。『プライベート・ライアン』どころか『フォレスト・ガンプ』の頃からそんな感じではあった。『フィラデルフィア』はすごく良かったんだけれども、太るのと比例してつまらなくなってきた。この映画なんてブクブクだもの。どうしちゃったんだろう。「分かった分かった、君が上手いのは分かったよ」って言いたくなってしまう。ロビン・ウイリアムスなんかにもそういうところがあるんだけど、彼の場合嫌味なく笑いを取れるからまだ救われてる部分がある。そういやトム・ハンクスももとはコメディ出身じゃないか。そろそろちょっと目先を変えてもらいたいものである。別にここでトム・ハンクス批判をするつもりはないけど、少なくとも『グリーンマイル』で良かったといえるのは彼ではなかったということ。ネズミであり、ダンカンであり、デビッド・モースだったということだ。
いい映画だったとは思う。けど、トム・ハンクスを前面に出すのは、この映画に関しては客寄せ以上の意味はなかったでしょう。