かつてKISSESだったやつらに捧ぐ。
- アーティスト: 氣志團
- 出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング
- 発売日: 2010/09/15
- メディア: CD
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今回のアルバムタイトルは綾小路翔製作総指揮のドラマ「木更津グラフィティ」と同じであり、両者は密接に関係している。「木更津グラフィティ」は木更津を舞台にした地域密着型トレンディドラマで、氣志團のファンである6人の男女が主役。公式サイトによれば「日本全国で「肩身の狭い思い」をしているコスプレイヤーたちにエールを贈る、悲哀と失笑、そして感動の青春群像劇」だそうだ。そのドラマとリンクするこのアルバムはつまり、そんな「肩身の狭い思い」をしている氣志團ファンたちに「俺達を好きでいることを恥ずかしいなんて思わせないぜ!」と背中を押すものなのであり、氣志團らしい、ギミックと本気(ポンゲ)に満ち満ちたヤンクロックが満載なのである。こういう、ストレートにバンドの勢いを感じさせるアルバムは実に久々で、個人的には『1/6 LONELY NIGHT』と対をなすアルバムではないかという気すらする。つまり、もう一回ここからピリオドの向こうを目指すぜという気合を感じるのである。このアルバムを納得いくものにすること、それこそが、かつての(今も)KISSESだったやつらに対する自分たちができる唯一の落し前なんだ、と言わんばかりである。
「Rock'n'Roll Graffiti」、「木更津サリー」、「さよなら世界」などのちょっと切ないロックンロールに胸を熱くし、やはり今回もいい曲を書く星グランマニエ作曲の「おまえだったんだ」にキュンとし、今回唯一の阿部Bプロデュースによる「愛してナイト!」のディスコ・サウンドにニヤッとするのだ。氣志團がどういうバンドだったのか、もう一度思い出させてくれる快作。