無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

即効性の×××。

ゆらゆら帝国 III

ゆらゆら帝国 III

 前作『ミーのカー』の表題曲みたいに25分以上も続く曲はない。非常にコンパクトにまとまってるという印象(と言ったって7分の曲が2つもあるんだけど)。延々と続くサイケ、ファズ、色とりどりのサウンドスケープの果てに全く違う世界が現れるようだった前作。今回は同じ効果を得るにしてもピンポイントで脳細胞のその個所にズバズバと音の塊がヒットするという、そんな感じ。どんな感じだよ。いやもう、ホント説明できねえよこんなもん。説明するのもいやになってくる。でも聞くと一発でわかる。聞き進んでいくにつれ、もう抜け出せなくなる、もう後戻りできない感みたいなものがむくむくと湧きあがってくる。そのせいか、彼らの音には常に不気味さというか、不穏なものを感じてしまうのだけど、逆にギンギンに頭は覚醒していく。結果それがすごく気持ちいい。
 彼らの音はじわじわと浸食してきていつのまにか中毒になって抜け出せないというようなものだと思うけど、今度のはそれにプラス直接注射針で流し込んだかのような即効性を持っている。ヤバイ。ヤバイ音楽だこれは。炭酸頭の中で鳴る爆音。こんなものが鳴ってればそりゃいつ電話しても出ないよ。悪いけど。
 ゆらゆら帝国の音は確かにでっかいクエスチョンマークかもしれない。でももう、わかっちゃってるんじゃない?僕たちは。少なくともこれがとんでもないもんだってことは。