無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

広末涼子に拍手。

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 リュック・ベッソンは制作と脚本であって、監督は『TAXi2』のジェラール・クラヴジックです。お間違えなきよう。話題性だけが先行している気がしなくもないのだけど、先入観なく見てみると、それなりにコンパクトにまとまっている映画だなと言う感じ。シリアス一辺倒ではなく、ジャン・レノのコメディ俳優の面も生かしたわりとコメディタッチの演出。それがちょっと日本人にはハズシ気味に見えてしまうのは仕方ないのか。こういう、外国人が日本を舞台に映画を撮る場合、たとえどんなに親日家の場合でも、どこかずれた日本観が見えてしまうものだけど、この映画の場合はそうでもなかった。ゲームセンターで遊ぶ若者たちや、すぐに携帯で話し始める広末涼子、新宿の描写など、風俗公証としてはそれなりに今の日本をとらえている方だと思う。
 さて、その広末涼子。日本だとワイドショー的な見方でもってキレ者女優の扱いになってしまっている彼女だけど、この映画での彼女はすごくよくやっている。フランス語はセリフを覚えただけだろうけど、かなり流暢に聞こえるし、割と派手目の演技もテレビで見るより馴染んでいるように見える。それにアップの顔とか、単純にマジかわいい。フランス人が見たら惚れるよこれ。
 惜しむらくは悪役である日本のヤクザの描き方とキャラクターにあまりにも魅力がないところ。フランス語を話す必要がないのなら、ビートたけしとまでは言わないがそれなりに存在感のある役者を使って欲しかった。全体としては、細かい設定のいい加減さや、ご都合主義のストーリー展開などが気になる人は全くダメだろうけど、素材だけを見れば結構イケルかも、という映画。