無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

青い春。

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 ロックというのはおそらく多かれ少なかれどこかしら青臭さというものを内包するものだと思うのだけど、モラトリアム的な感じのものは僕は好きではない。かけがえのない時代(青春と言い替えてもいい)の甘酸っぱい思い出。それはそれとして、現実はいつでも目の前にある。いつまでも思い出の中に浸っていては何も進まないし、何も変わりはしないのだ。
 GOING UNDER GROUNDの新作。前作がまだ青春時代の中に閉じこもっていた作品であったとしたなら、本作で彼らは現実と向き合って前に進み出したといえるだろう。どんなに親しい友人たちとだっていつまでも一緒に笑ったり遊んだりできるわけではないし、君と僕の関係だっていつまでも続くはずはない。それをわかった上で、思い出の中のあの時代と今、両方の距離をきちんと描き出し、どちらも同じくかけがえのないものであると歌う。結果、曲の中の世界は飛躍的に広がりを増した。松本、河野の二人のソングライターのすみわけがはっきりして曲調は二分しているけれども世界観は見事なまでに統一されている。バンド内の意識が全員同じ方向を向いているのだろう。運命共同体ともいえるバンドが鳴らす「彼らだけの国」。それを誰もが共有することでポップのダイナミズムは生まれるのだと思う。
 胸をかきむしられるようなメロディーと言葉。ギリギリの繊細さでかき鳴らされるギター。前作よりもはるかに好きだ。このまま行ってほしい。