我が闘争。
- アーティスト: Pearl Jam
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 2002/11/12
- メディア: CD
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しかし、本作でのエディはちょっと違う。「ラヴ・ボート・キャプテン」という曲名からも顕著なように、ここでの彼は愛を歌っている。ビートルズの「愛こそは全て」というフレーズを本気で今の時代に強く訴えかけようとしている。それは、自身も語っているように9人のファンを失うというロスキルドの悲劇を経験したことと、かの「9.11」を経て辿り着いたひとつの結論なのだろう。このアルバムの言葉は非常に重く、そして感動的だ。自らの人生と経験、そして世界との繋がりの中で生まれる様々な軋轢や葛藤。それをロックンロールとして鳴らすこと。当然ながら、本作もそうしたシンプルなプロセスによって作られている。グランジから10年、このアルバムとNIRVANAの「You Know You're Right」を聞いていると何か感慨深いものがこみ上げてくる。
しかし、そうは言ってもエディ・ヴェダーは、そしてパール・ジャムはいまだに戦っているし、怒りを抱えている。「騒乱取締令」という意味を持つアルバムタイトルがそれを示している。9.11以降の世界の中でアメリカという国に住む人間の姿がここにある。「ブッシュリーガー」なんていう直接的なタイトルの曲もある。今にもアメリカはイラクを爆撃しようとし、北朝鮮は核を持ち出して世界を威嚇している。こんな世界だからこそ、エディ・ヴェダーは今愛を歌う。あまりに無骨ではあるが、こんなロックのロマンティシズムが僕は大好きだったりする。