無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

混沌とハイテンション。

マトリックス レボリューションズ 特別版〈2枚組〉 [DVD]

マトリックス レボリューションズ 特別版〈2枚組〉 [DVD]

 僕は前作の『マトリックス』は単品で成立している作品だと思っている。なのでこの2作目、そして続く3作目はストーリーとしてさらに深くマトリックスの謎と人類の運命を描いていはいるものの、基本的にはアナザー・ストーリーみたいなものに近いのではないかという気がする。というか見終わった後に残る感覚というのが「何が真実で何が虚構なのかわからない」というものだったのだ。
 前作で救世主となったネオの能力はさらに圧倒的になり、マッハの速さで空を飛ぶし、エージェント・スミスが何百人かかって来ようがものともしない(予告編などでも有名なこのシーン、冷静に見てるとホント笑える。おかしいよアレ絶対)。まさに万能の能力を手にしたネオだが、しかし人類の運命を変えることはできない。今作ではマトリックスの心臓部といえるプログラムにネオが侵入すると言うのがひとつの大きな山場になっているわけだが、そこで彼が目にし、耳にするものはマトリックスの世界観の根幹となるような大きな謎であり、しかもそれはまったく物語の中で租借されないまま放り投げられた状態で次作に続く状態となってしまう。早く次を見たい!という飢餓感はかなりのものである。なので、この『リローデッド』単品で語るのは非常に難しい作品であると思う。3作目ですべての謎が明らかになった時点で、このマトリックス・サーガは完結し、正しい評価を得られるのだと思う。
 アクションは前作を遥かに凌ぐテンションで、ほぼ全編息をもつかせぬ特撮の嵐。ストーリー的に「別にいらないんじゃねえか?」というところもあるが、製作者、監督がそのハイテンションな時代の要望に応えてとにかく過剰に作ってしまった怪作と言えるかもしれない。その過剰さは明らかに「すごい!」を通り越してもう笑うしかないという境地に達しており、スクリーンの中で進行する人類滅亡神話のシリアスさとのギャップが楽しくて仕方がないのだけど、こういう見方はダメですかね。