無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

I hope he will not be back.

 ジェームズ・キャメロンはノータッチだし、シュワちゃん以外に前シリーズまで関わってたメインキャストもいないし、音楽はブラッド・フィーデルじゃないしで(あのメインテーマは使われているけど)正直あまり期待していなかった12年ぶりの3作目。しかしこれが意外に良かった。エドワード・ファーロング(ドラッグ関係で下ろされたとの噂もあり)に代わってジョン・コナー役を務めたニック・スタール(鼻の穴小堺一機)がちょっとイメージに違和感があるものの、それに目をつぶればよくぞここまで続編を作ったと言えるんじゃないだろうか。VFX関係はスタン・ウィンストンILMが担当しているわけだからさほど心配はないとして、女ターミネーターを演じるクリスタナ・ローケンも前作のT-1000に負けないなかなかのサイボーグっぷり。
 さて、問題はストーリー。前作で「審判の日」を回避できたはずなのになぜ再びターミネーターがジョン・コナーの前に現れるのか?ということだ。結局、「審判の日」は回避できなかったというオチなのだけども、それを前提として、この映画はジョン・コナーがいかにして未来の世界、人類のリーダーとなったかを描くドラマであるのだ。つまりここで、第1作目へとつながる道を作っている。ジョナサン・モストウ監督は元々シリーズのファンだったそうだけど、ここまで着地させたのは立派だと思う。というか、このシリーズにオチをつけるならばこういうやり方しかなかっただろうと思う。だってそもそも機械が人間に反乱を起こして核戦争が起きて、っていう未来が来ないのだとしたらジョンは生まれてこないことになるんだもの。ただ、そのラストに向かう緊迫感がイマイチ物足りなかったのが残念。なんだかうやむやなうちに機械が蜂起し、人類を破滅させようと攻撃し始めるので、それが現実なのか、夢なのか、その辺もあやふやになってしまっていた。アクション演出に関してはかなり面白かっただけにもったいない(ただ、カーチェイスシーンは迫力はあったけどむやみに町を壊しているだけのような気がしたが)。
 でも、シリーズをすっと見ている人なら見て損はないと思う。ああ、これでターミネーターも終わったな、と感じられるでしょう。個人的には変にちゃらちゃらしたり安易なハッピーエンドにならず硬派なSFとして終わってくれたので良かったと思います。