15年目、ロックの季節。
- アーティスト: エレファントカシマシ,宮本浩次,ガンダーラコンビネーション
- 出版社/メーカー: フェイスレコーズ
- 発売日: 2003/06/27
- メディア: CD
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ロック回帰、と言っても、彼らがバンドを始めた10代の頃の勢いや衝動をそのまま取り戻したわけではない。歌詞に描かれる心象はあくまでも37歳の宮本のものであり、それを隠したり誤魔化したりすることなく裸のまま放り投げているからこのアルバムは届くのだと思う。おそらく相変わらず宮本はバンドの演奏力やサウンドに微塵も納得などしていないだろう。しかしだからと言って一人で打ち込みでアルバムを作ることは今はないと思う。「俺はロック屋」この一言が全てを言い表していると思う。よく考えてみれば、エレカシがここまで迷いなく吹っ切れたロックンロールアルバムを作ったのは実はデビュー作以来じゃないかと思う。でも当然ながら、本作はデビュー当時の彼らでは絶対に作り得なかったものであるわけだ。
例えば『good morning』なんかは、宮本一人の衝動が突っ走っていると言う意味ではそれこそ『生活』と同じようなタイプのアルバムなわけだ。ぶっちゃけソロと言ってもいいような。しかしそこでもう一度バンドであることを選び、そこに全てを注ぎ込んで本作の「ロックンロール」を取り戻したのだから、そりゃあ説得力がある。そして、今の宮本は衝動や勢いや何かに対しての反動ではなく、冷静にギラついた目でロックンロールを掴み取っている気がする。最初に僕は決定打と書いたけれども、決してこのアルバムはゴールではない。宮本浩次の、エレカシというバンドの決意表明みたいなものだ。つまりこの後どうなるかが僕は一番楽しみなのだ。