無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

第1戦は非っ常に見ごたえのある試合だった。前日のヤンキースレッドソックス以上に緊迫した試合展開だった。しかし、得点こそ5-4と接戦ではあるが、内容的にはダイエーが自分たちの野球ができていた、と言えるかもしれないと思う。
阪神・井川は気合は入っていたが球が高めに浮き、シーズン中の出来からは程遠かった。正直、もうあと2、3点取られていても全く不思議ではない内容だった。ダイエー斉藤和巳もそこそこの調子ではあったものの、2アウトからの四球をきっかけに得点を許すなど、不用意な内容だった。ヒットの数ではダイエー阪神を圧倒していたが、効果的な得点で接戦を演じるあたりは今年の阪神の粘りを象徴していたと言えよう。野球の面白さ、怖さを感じたのはやはり両先発がマウンドを降りてからの展開。リリーフ陣に関しては阪神のほうが上だという下馬評通り、阪神・安藤は安定した内容でダイエーの攻撃を完璧に抑えていた。そして逆にダイエーは1点のリードを守りきれず、同点のまま終盤を迎える。ここまでで試合のペースとしては実は阪神のゲームと言えるものになっていた。同点で延長を見据えた中でどうやりくりをしていくかが最大の焦点だった。延長(日本シリーズは15回)を覚悟して安藤に3イニングス目を任せた星野監督。逆にダイエーは勝負をかけるつもりで岡本、篠原とリリーフエースを次々に投入していく。結果的にダイエーの打線が安藤をとらえ、劇的なサヨナラとなったわけだ。阪神にしてみれば自分たちのペースのゲームを落としたことは悔しいところだろうが、どちらに転ぶかわからなかった展開と言うことを考えれば悲観することは全くなかったと思う。

しかし、2戦目の内容はひどすぎた。何もできずに一気にやられてしまった。こうなると1戦目の負けが大きく影を落としてくる。井川、伊良部という今年のローテーションを支えてきた投手で2つ落としたのは辛い。第3戦(4戦かも?)に先発するであろう下柳は元ダイエーで昨年までパ・リーグにいた投手。ダイエーにとっては苦手意識はないだろう。甲子園という地の利はあるだろうが、正直阪神が2勝3敗で福岡に戻っても連勝するのは辛いと思う。甲子園で全部勝つつもりで行かないと一気にシリーズが終わってしまう可能性も見えてきた。ダイエーの打線も確かにすごいが、投手を中心にした阪神の守りが勝手に崩れているという気もする。

個人的には星野監督に日本一になってもらいたい、という希望はあるのだけど、ダイエーにかなり有利な展開になっておりますね。一度も日本一になっていない名将、という近鉄西本監督以来の不名誉な称号を星野監督は手にして勇退するのか。