無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

PEALOUT解散。を静かに噛締めてみる。

ROLLS NEVER END

ROLLS NEVER END

 PEALOUTはいつだって暴力的なまでに切なく、そして繊細であり、この上なく激しいバンドであった。とてもじゃないが言葉になどできないような、徹底的に微分された感情を丁寧に拾い集め、肉体的な音塊として叩きつけるバンドであった。人間が抱くことのできる感情の両極をどちらも余すところなく表現しようとするあまり、その真ん中で引き裂かれてしまいそうなバンドであった。つまり、ロックの持つロマンを体現したようなバンドであった。
 解散が発表された今、昨年出たこのラスト(になることになる)アルバムの感想を書くのはある意味卑怯かもしれない。しかし、このアルバムは前述したような PEALOUTのロマンが全編に溢れまくっているアルバムである。ここに収められた12曲は全てが純度100%のロックンロールであり、驚くほど冷静に目の前の真実を射抜いている。何物にも汚されるな。自らの前の道を見失うな。そんな正論すぎるメッセージは、歪みまくったこの世の中でも決して折れることなく存在し続けている。なんと美しき反逆の音楽。歪んだ世界の写し鏡のようなギターも、目の前の風景を叩き壊さんと力の限り鳴らされるドラムも、僕とあなたの心臓の鼓動を代弁するかのようなピアノも、彼らの中にある音には一片の偽りもなかった。インディーで発売されたこのアルバムを手にした人の数は決して多くはないのかもしれない。それでも聞いた人の中には必ず確かな光を灯すはずだ。一つの歌を、あなたの未来に。彼らは最後にそう言った。その歌はこう歌っているはずだ。「BEAT FOR YOUR RIGHT」と。