Pure Jam。
- アーティスト: Pearl Jam
- 出版社/メーカー: Universal Int'l
- 発売日: 2009/09/22
- メディア: CD
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パール・ジャムというバンドは1991年のデビュー以来、彼らが望むと望まざるとに関わらず常に何かを仮想的として、そこにぶつかっていくなり、攻撃するなりされるなり、それらとの距離感で評価されてきたバンドだったと思う。それは例えばグランジであったり、チケットマスターであったり、ブッシュであったり、アメリカという国そのものだったりしたわけだ。前に述べた通り、前作はブッシュの再選という出来事への反動が大きな動機となったアルバムだった。ところが今作においては、そうした政治的あるいは状況的な要因はあまり感じられないのだ。もしかしたら、『Ten』以来初めて、純粋にバンドとしての音楽的衝動のみを拠り所に製作されたアルバムなんじゃないかという気もする。音楽的には、エディ・ヴェダーがソロプロジェクトとして手がけた「イントゥ・ザ・ワイルド」のサウンドトラックから派生したような曲もあるが、バンドとして鳴らされるとその手触りはかなり違う。
パール・ジャムの曲を聞くときはどうしてもエディが何について歌っているのか、その歌詞に気が向いてしまうのだけど、本作においてはリフとメロディーが全体を引っ張っている。単純にロックンロール・バンドとして、異常に高いポテンシャルを持ったバンドなんだということが改めて浮き彫りになっている。そう、このアルバムでのパール・ジャムはロック・バンドではなくロックンロール・バンドだ。聞いているといろいろ考えながらも、とてつもなく楽しいし感動するのだ。今までパール・ジャムを縛っていた(それはある意味自縄自縛だったのかもしれないが)様々な枷を外し、バンドの芯を覗いたら何のことはない、ストレートなロックンロールが鳴っていたということだ。18年もかかってずいぶん長かったように思えるけれども、ここに至れたことは素晴らしいことだと思う。久々の1位獲得も含めて、おめでとうを。
これは蛇足かもしれないけど、ニルヴァーナの『ライヴ・アット・レディング』も、シンプルにニルヴァーナがいかに優れたロックバンドだったかをダイレクトに伝えてくれる作品だった。2000年代も終わろうかと言うときに出たこの2つ作品は、大きく時代が一回りした感覚を僕に与えてくれるものだった。