無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO(1)〜泥んこプロレス第1ラウンド

■2010/08/13@石狩湾新港樽川埠頭横野外ステージ
 台風4号の影響で、前日までかなり強い雨が降っていた北海道。ツイッター等で送られてくる現地からの状況は、水田のような池というか沼というか、が広がっている写真ばかりで不安が広がっていた。公式アナウンスでも長靴の着用を推奨されるなど、状況の劇的な改善は難しいという判断だったようだ。ただ、台風一過、当日は晴天に恵まれ気温も高く、絶好のフェス日和ではあった。一抹の不安を抱きつつ10時過ぎに会場に着き、入場待ちの列に並ぶ。

 今年はアーステントの位置が若干変わり、会場外の道路寄りの方に移動した。並んでいるとすぐテントが見える。このあたりは若干、ぬかるんでいるところもあるがそれほどでもない。11時、開場したはずだが、列の進みが遅い。いくら入場に手間取ると言ってもこれはおかしい。先を見ると、入場ゲートのすぐ手前に沼のように大きな水溜りが。これのせいらしい。避けようにも全く被害を受けずにこの沼というか池を抜けるのはほぼ不可能という状況。スタートから何この風雲たけし城。意を決してキャリーカートを持ち上げ、道を選びつつ沼に足を入れる。確かにこれは長靴必須だ。奥さんは途中で長靴に履き替え、突破した。

 ゲートを通ったのは開場から1時間以上後。テントを引き換え、場所に向かう。今回はムーンサーカス寄りのエリア。会場奥まで荷物持って歩くのが結構しんどい。ゲート正面のテントエリアは半分以上水没しており、とてもじゃないがテントが張れる状態ではない。このあたりが最もひどい状態だった。元々このエリアのテントだった人達の中にはテント難民となり、別のエリアへの移動をせざるを得なくなった人も多かったようだが、その手続きもかなり時間がかかったらしい。自然災害なのでどうしようもないところではあるが、こんなのは12回目にして初めて見た。いかに週末から激しい雨が降っていたかということだろう。サンステージから奥のエリアはさほど大きな被害はなさそうだった。ウチのテントの場所も問題なく立てられた。

 暑い!腹が減った!のでとりあえず食事とビール。ビール+串2本で600円という高いコスパで一休み。天気のいいフェスで飲む一発目のビールがまずいわけない。最高。その後、Twittermixiの連動乾杯企画に参加。ぶっちゃけ結構グダグダだったが、何人かのフォロワーさんとお話できたのは良かった。一発目に何を見るかというのは最後の最後まで悩んだのだけど、Coccoにした。フェスの直前に発表された最新作はこの時点ではまだ聞いていなかったのだけど、なんとなく今見ておかないといけない気がしたのだ(変な意味ではなく)。アーステントのチャットモンチーと迷ったのだけど、チャットは先日もツアーで見ているし、何よりもアーステントに行くにはあの水田を突破しなくてはいけない。長靴でない僕にはかなり厳しいミッションだ。なのでフェスを通じて、どうしても、というもの以外はアーステントを避けることにした。
 というわけでグリーンオアシスでCocco。久々に大村達身のギターが聞けるのもたのしみだった。登場したCoccoはあまりにも細く、二の腕などはほとんど骨と皮だけじゃないかというほどだった。正直見ていて痛々しい部分もあるが、表情はどこかすっきりしている。1曲目、「強く儚い者たち」、続いて「樹海の糸」というヒット曲で一気に盛り上げ、その後は新作『エメラルド』からの曲が続く。前作『きらきら』はCoccoが沖縄という存在を初めて自分と同一化したアルバムであり、彼女のキャリアの中でも画期的な作品だった。ただ、音楽的なまとまりという意味では非常に荒っぽい作品でもあった(そうせざるを得なかったというのもあるが)。その点、ここで初めて聞いた新作の曲はメロディーとアレンジが非常に洗練されていた。それでいて、言葉や節回しに沖縄を消化した以降のCoccoという要素も自然に内包されており、アーティストとしての彼女が間違いなくひとつ上のステップに達したことを感じさせるものだった。MCでは台風で飛行機がかなり揺れたらしく、「死ぬかも」と思ったことをユーモアたっぷりに話していた。そんな冗談が言えるほど、新作に満足しているのだと思う。病気との戦いはまだ続くだろうが、それもCoccoのアーティストとして、人間としての純粋さから来たものであることは彼女のファンなら良く知っていることだろう。今にも折れそうな細い体から出る歌声は以前よりもむしろ伸びやかで、歌自体も上手くなっているように思った。ステージを終え満面の笑顔で帰るCoccoを見て、今彼女のステージを見られた幸運を感じた。

Cocco SET LIST
1.強く儚い者たち
2.樹海の糸
3.クロッカス
4.Light up
5.三村エレジー
6.ニライカナイ
7.蝶の舞う
8.絹ずれ〜島言葉〜
9.瑠璃の花

 Twitterフォロワーで前日初めてお会いしたよーすけさんのテントにお邪魔する。ロゴの旗があったので一発で分かった。よーすけさん始めお仲間の皆さんも温かく迎えてくれて感謝。お肉とハイボール、ご馳走様でした!美味しかったです。

 その後意を決してアーステントに移動。行くまでの道のりもさることながら、アーステント入り口前がまたしてもたけし城竜神池状態。若干靴の中に冷たさを感じながら中へ突入。ホルモンは昨年、亮君の新型インフル感染のために出演をキャンセルした経緯があるので、腹ペコの皆さんの腹ペコ具合もまさに臨界、沸騰寸前。あと、無事に第一子が誕生したナヲちゃんにおめでとうを言いたいというのもあった。入場規制がかかるのでは?という勢いでテントに人が集まってくる(実際かかった)。メンバー登場から、腹ペコどものテンションはほぼ針振り切れ状態。僕はテント後方のPA卓近くにいたのだけど、それでもモッシュが起こるほど。まあ、その中で何とか自分の位置を確保しつつ楽しみました。久々の恋のおまじないもできたし(腰が痛かったのであまり後ろに反れなかったけど)、外れがないわけですよ、ホルモンのライヴは。それはわかってる。ただ正直、もうそろそろ新しい曲が聞きたい。アルバムから3年半、一番新しいシングルからでも2年以上経ってるわけで、その間同じようなセットのライヴをやっていたらいかに刺激的で楽しくてもマンネリ化してしまう。本来、マンネリからはほど遠い歪な音楽をやっているバンドなのに、もったいない。もう一回、ぶっ壊してほしい。

マキシマムザホルモン SET LIST
1.F
2.What's up, people?!
3.ロッキンポ殺し
4.アバラボブ
5.チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロンヌルル レロレロ
6.ぶっ生き返す
7.爪爪爪
8.包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ
9.人間エンピ
10.シミ
11.恋のメガラバ