無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO感想(4)~今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる

■2017/8/12@石狩湾新港特設ステージ

 ZAZEN BOYSからそのままデフに残ってeastern youthか、サンステージで久保田利伸か、被りが痛い時間帯。結局、現時点で一番見たい、見ておきたいという欲求に従ってぼくのりりっくのぼうよみ。僕が移動したときにはまだそれほどレインボーは混んでいなかった。ステージ上にぼくりり本人は不在で、バンドがサウンドチェックを行っている。キーボード、ドラム、パーカッションにDJ。純粋なヒップホップとは違うと思っていたので1DJ1MCのようなスタイルではないと思っていたけど、編成は想像以上にバンドだった。ボーカルなしで「shadow」の演奏でリハを行う。かなりグルーヴィー。時間になり、いよいよ本人登場。思ったよりも小さい。そして写真で見るよりもさらに童顔。実際まだ10代だけど、子供みたいに見える。お肌もツルツルそうだ。音源とはまた違った生音を含むグルーヴに乗せて流麗なフロウとメロディーが歌われる。難解で哲学的なテーマやポップスではあまり使われない言葉のチョイスなどに独自のセンスを持つ人だと思うけど、ライブのテンションとスピード感の中では殆ど言葉は聞き取れない(速いテンポの曲だと特に)。サウンドとビートを感じて体を揺らしながら聞くのが正解なのかな。椎名林檎の「本能」のカバーをやったのだけど、この辺に彼のルーツが見えて興味深い。やはりヒップホップは彼の出自ではなくて、彼の音楽の一要素に過ぎない。独自の言語感覚を持つテン年代のポップスとして聞くべきなんだと思う。個人的にはやっぱり見ておいてよかったです。

ぼくのりりっくのぼうよみ
1.Be Noble
2.sub/objective
3.CITI
4.つきとさなぎ
5.Collapse
6.Sky's the limit
7.(新曲)
8.本能
9.lier
10.Noah's Ark

 ブレイクの時間帯、レッドスター近辺で食事をしながら小休止。次はレインボーでAwesome City Club(ACC)なのだけど、混雑が怖いので早めに移動する。テントの中で待っていたので花火が見れませんでした。残念。ACCも、今年ライブを見ておきたかったバンドの一つ。昨今のシティポップ的なサウンドを志向するバンドの中でもソングライティングやサウンドのきらびやかさでは群を抜いていると思っていた。サウンドチェックの間から声援がすごい。人気と期待感の高さがうかがえる。8月末に初のベスト盤のリリースが控えているとあって、「Awesome City Tracks」シリーズから万遍なく選ばれたセット。演奏は決して下手ではないのだけど、テープ使用も多いしバンドとしてのグルーヴやアンサンブルを感じるというよりはやはりサウンド全体のキラキラ感を楽しむという感じ。ただ、atagiのボーカルは生で聞いてもセンスを感じる。ほぼ全編ファルセットの「Cold & Dry」もキツそうな感なく歌いきる。「今夜だけ~」のように完全に男女デュエットの曲だと、バービーボーイズがシティポップをやっているような感覚。ここは強みだと思うので、こういう曲をもっと聞きたい。シティポップ感のあるバンドは一種の流行りもあるのかもしれないけど、出尽くした感があるのでこれからは淘汰が始まっていくと思う。単に雰囲気でのオシャレ感をなぞっているようなバンドは長続きしないと思う。ACCはサウンドのルーツがしっかり見えるので大丈夫だと思うし、新曲「ASAYAKE」のように、スタイリッシュと汗臭さをいいバランスで行き来できるのもいいと思う。これからも期待してます。で、PORINちゃんは本当にかわいかったんだけど、結構近くにいたPORIN推し?のやつが曲間のたびに「PORINちゃーん!PORINぢゃーーーん!ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」というテンションでうるさかったのには辟易した(後半の方はそいつが叫ぶたびに笑いが起きていた)。でもまあ、いやな顔せずにMCで軽くあしらうあたりもよかったと思います。

Awesome City Club
1.Don't think, feel
2.It's so fine
3.アウトサイダー
4.青春の胸騒ぎ
5.Cold & Dry
6.Jungle
7.Pray
8.ASAYAKE
9.今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる

https://www.instagram.com/p/BXseboehpjE/
おいパイネ食わねえか。

 急いでレッドスターに向かうと、すでにコーネリアスのステージが始まっていた。僕が聞いたのは「Drop」から。10月にツアーを見に行くこともあって、後ろの方でパイネを食べながらゆっくり見ることにする。遠かったのでメンバーはよく見えなかったんだけど、バッファロードーターの大野由美子がいたと思う。あとは堀江博久あらきゆうこかな。恐らく、ツアーもこのメンバーで回るんでしょう。楽しみ。で、このステージが凄まじくて、野外のフェスとは思えないほど映像とサウンドのシンクロ率が高い。照明はともかく、ここまで高精度な映像演出をフェスで行うのは難しいでしょう。そして音の立体感、クリアさ、音質の良さは僕が今まで野外フェスで聞いた中では1,2を争うレベルだったと思う。音でも映像でもものすごいことがステージ上で行われていたと思うんだけど、サウンドの心地よさのせいかそれほど熱狂や興奮という感じのリアクションではなかったかもしれない。ただ、本当にフェスでこのレベルのステージを体験できるのは稀有だと思うし、ツアーへの期待値がリミッター超えになるようなライブだった。これをフルサイズでライブハウスで体感できるのは本当に楽しみ。そして同時に、このステージを野外で(しかもレッドスターはハマっていた)見れたのも良かった。

Cornelius
1.いつか/どこか
2.Point of View Point
3.Helix/Spiral
4.Drop
5.Count Five or Six
6.I Hate Hate
7.夢の中で
8.Beep It
9.Fit Song
10.Gum
11.Star Fruits Surf Rider
12.あなたがいるなら

Mellow Waves

Mellow Waves

 コーネリアスはフジでも同様のハイクオリティなライヴをやっていたみたいだし、エイフェックス・ツインなんかもかなりすごい映像演出をやっていたらしい。野外のフェスでもそういうことが当たり前にできる時代になってきたのかもしれないですね。
(続く)