無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

アイドルとしてのユニコーン

ユニコーン ユニコーン100周年ツアー"百が如く"
■2019/11/15@カナモトホール

UC100V

UC100V

今年のユニコーンは春にアルバム『UC100V』をリリース、そしてツアーを行った。ツアーは夏フェス期間を挟んで前後半に分かれていて、後半のツアーに合わせて今年2枚目のアルバム『UC100W』をリリース。いつになく精力的に走っていた。

とは言え。アルバムはユニコーンらしいものではあるものの、年間ベスト的な位置に来る傑作ではないし目新しさも感じない。近作と同様メンバー全員の楽曲が満遍なく収録され、端的に言えば民生の比率が低くなっている。全体の方向付けやプロデュースはABEDONが中心に行っているのだろう。それは今の彼らが自分たちに合ったやり方を見つけた結果なのだろうし、そこについてとやかく言うつもりはない。しかしアルバムを聞いていても「この曲をライブで聞きたい」と思うような曲は、正直少ないと言わざるを得ない。

いきなり否定的なことを書いてしまったけれど、じゃあなんでユニコーンのライブに足を運ぶのかと言われればそれはこのメンバー5人に会いたいからだ。新曲の出来なんかよりも、5人のおっさんたちがステージ上でわちゃわちゃやりながら演奏する姿を見たいからだ。それ以外にない。

2019年はユニコーンが再始動してから10年、ABEDONが加入し現メンバーとなったアルバム『服部』から30年、そしてドラムの川西幸一が還暦(見えねえ)ということで全部足して100周年というこじつけもいいところのアニバーサリーイヤー。

実際、アニバーサリー感は若干あるものの実に通常営業のユニコーンのライブだった。各メンバーソロ曲での見せ場があり、MCは民生とABEDONが中心で回し、名曲で決めるところは決める。序盤で「すばらしい日々」をやって「はいはいもうこれで十分でしょ、後は好きにやるね」的なやり逃げ感も実にユニコーン。個人的には『服部』収録曲を1フレーズごとに短く繋げたメドレーが最高だった。(これ、『ケダモノの嵐』版でもやってほしいなあ)

再始動後10年経ったということは、すでに以前の活動期間を超えている。フェスでもツアーでも過去の名曲セットリストで盛り上がり有難がったのはもう昔の話。新曲多めでも何でも、50過ぎたおっさんが楽しく遊んでいる姿を見られればそれでいいのだ。逆に言えば、そういうファンでなければ今のユニコーンのライブは楽しめないと思う。というわけで、なんだかアイドルのライブを見てるような気分になった。それでも、「HELLO」を聞いているとやはりグッと来てしまったな。名曲だ。

■セットリスト
1.M&W
2.すばらしい日々
3.おかしな2人
4.That's Life
5.Good Timeバレンタイン
6.Lake Placid Blue
7.7th Ave.
8.でんでん
9.服部メドレー
10.BLUES
11.4EAE
12.55
13.半世紀少年
14.チラーRhythm
15.Boys&Girls
16.Feel So Moon
17.ZERO
<アンコール>
18.HELLO

UC100W

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