無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO感想(1)~そして輝くウルトラソウル

■2017/8/11@石狩湾新港特設ステージ

 19回目のRSR、19回目の参加。ここまで来ると何年に何があって何を見たとか正直記憶が曖昧でごちゃ混ぜになってくる。でも、年々テントサイトやチケットが取りづらくなっていることは確かだ。特にここ数年駐車券の倍率は異常だと思う。今年は会場内は先行で全滅。会場外ですら発売初日に即完。こんなのは初めてだ。会場外駐車場は同行の友人が取ってくれたので何とかなった。でもいつもは一緒のエリアでテントを張る友人らも一部別々になってしまった。今年は通し券も完売になった。大好きなフェスが盛り上がるのはいいことだけれども、転売厨の温床になってしまうのは許せない。ただ、さすがにフェスで本人確認するのは難しいだろう。テントサイトの交換もできなくなってしまうし。まあ、そういう対策論や愚痴はまた別の話。

 直前に列島を直撃した台風5号の被害はなかったものの、天気には恵まれなかった。初日も天気は曇り。日中も少し涼しいくらいで、夜になったら防寒が必要になるのは確実な気温だった。今年は久々に会場外駐車場だったけど、入りは割とスムーズ。駐車したのは10時くらいだったけれど、比較的会場に近い方に停めることができた。フォレストゲート側からの入場はそんなに混雑も無し。その代わり入場してからテントエリア(今年はエビ)まで荷物を持って歩くのが非常につらい。会場内駐車場からヘブンズゲートの入場は逆に列が長くて大変だけど移動距離は短い。結局テントサイト引換までにかかるトータル時間はあまり変わらない気がする。
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けずり初め。
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なると屋ザンギカレー。

 テントを張り終え、曇天の中乾杯。何はともあれ、これがないとフェスは始まらない。最初はレインボーシャングリラで清水ミチコを見ようと思っていたのだけど、その前にレッドスターチャラン・ポ・ランタンに足が止まる。以前ボヘミアンで見たことがあったけど、その時は2人だった。今回はバンドでの出演。「逃げ恥」のオープニング曲「進め、たまに逃げても」やフリッパーズ・ギターのカバー「恋とマシンガン」など、大いに盛り上がっていた。こちらも魅力的だったのだけど、予定通り清水ミチコに移動。すでにレインボーのテントから人が溢れだしていた。なんとか横からステージが見える位置まで移動。

 清水ミチコのネタはTVで見たことはあってもライブは初めて。特にフェスという場でどんなステージになるのか楽しみだった。まずは天龍源一郎や「夢で逢えたら」世代には懐かしのミドリちゃんネタなどで場をあっためる。「百年使える声の歌」ということでピアノを弾きながら0歳代から10代、20代、そして100歳までといろんな世代のものまねを披露。イクラちゃん→藤田ニコル能年玲奈山口もえ杉本彩中森明菜→高畑敦子→市原悦子黒柳徹子瀬戸内寂聴→金さん銀さんという感じでした。続いては井上陽水デヴィ夫人瀬川瑛子でアナ雪のレリゴー。個々のモノマネの出来にはばらつきはあるものの、ネタの目の付け所と声の引き出しの多さはすごい。今回フェスに出ない人特集で中島みゆき矢野顕子清志郎美輪明宏、森山良子、秋山雅史を。男性の声を女性がマネするとどこか無理が出るように思うんだけど、清水ミチコはあまり感じないです。続いては作曲法シリーズ。これはアーティストの曲あるある的なネタ。○○が何々を歌ったら、とか○○っぽい曲をやってみるとか、メロディーやコード進行をマネしてネタにする人もいるけれど(マキタスポーツや馬と魚など)、目の付け所は似てると思う。むしろそのハシリと言えるのかも。映像と文字を使って音に合わせてオチをつけるのも決まってた。サカナクションの「音、止まる」は笑った。最後はひとりフェスメドレーでいろいろな人のまねを。これも文字使って笑いどころを演出してました。ちなみにゲスの極み乙女川谷絵音は(田中真紀子クマのプーさん)÷2でできるそうで(笑)。面白かったし、きちんと音楽的だし、長年培った本当の芸だと思いました。ホールでのワンマン公演も見てみたい。のっけからいいものを見ました。

清水ミチコ
天龍源一郎
ミドリ
百年使える声の歌
アナ雪(陽水、デヴィ夫人瀬川瑛子
100円くらいのお菓子の歌
中島みゆき
矢野顕子
忌野清志郎
美輪明宏
森山良子
松任谷由実
秋川雅史
・作曲法シリーズ
スピッツ
山下達郎
サカナクション
椎名林檎
ミスチル
・ひとりフェスメドレー
UA
YUKI
クリープハイプ
ゲスの極み乙女
いきものがかり

 近年のRSRでは各ステージのみならず、RED STAR CAFÉやTAIRA-CREW、PROVOテントなどでゲリラ的にライブが行われることも多い。実際には本当にその場で決まっているわけはないにしても、情報が出回るのは口コミや当日張り出されるタイムテーブル、SNSでの情報が主だった。今年から?入場時に配布されるマップ・タイムテーブルにも上記3ステージのスケジュールが記載されたので非常に助かった。というわけでリトル・クリーチャーズを見にPROVOテントへ移動。

 狭いステージに三人だけの非常にシンプルなセット。集まっているのは数十人か。ステージと最前列の距離もほんの2,3メートル。こんな至近距離で職人たちのライブが見れるなんて贅沢という他ない。昨年発表の『未知のアルバム』から何曲か演奏し、「moscuito curtain」へ。「19の時に作った曲です」と、セカンドアルバムから「suddenly (I’m home)」。新旧織り交ぜながら渋みのある、奥深い演奏を聞かせる。彼らは僕と同学年で、10代でデビューした時から幅広い音楽知識と優れたセンスを見せていた。当時は背伸びしすぎの感があったけれども、40代半ばになるとちょうど身の丈という感じがする。本当にカッコいい。「House of piano」では青柳拓次がその場でギターフレーズをサンプリングしながら次々と音の厚みを増していく。打ち込み無くても完全に躍らせるためのビート。小さいステージでもやっていることはとてつもない。ホントによかった。ベースの鈴木正人がタイラクルーでの青柳拓次のステージを宣伝したら青柳が「君もやるでしょ、今日。レキシで。」と返す。「アッチはほら、何も言わなくても勝手に人が来るから。」と鈴木。中々見れない素のやりとりも微笑ましかった。

 後ろ髪引かれながらPROVOを後にする。サンステージに近づくと大歓声が聞こえてきた。B’zが登場したらしい。そしてすごい人の数。スタンディングゾーン、レジャーサイトのみならず通路まで人がびっしりと溢れかえっている。中の方の人口密度まではわからないけれど、19年間参加してきてこれはRSR史上最高動員じゃないかと思った。なんとか人の波をかき分けてレジャーサイトの端っこに移動。ステージは遠いけど、ビジョンははっきり見える。1曲目から「さまよえる蒼い弾丸」、そして「Lier! Lier!」。松本のギターがそのまま生で聞こえてくる衝撃と感動。「Mステのオープニングだ!」って思いましたよマジで。そして稲葉浩志というボーカルのとんでもなさ。ステージ動きながらあの声の伸び、張り、音の確かさはハンパないです。周りのバンドメンバーもすごい。僕はそこまでファンじゃないのでどういうミュージシャン達がいたのかわからないんですが、金髪イケメンのドラムは特に凄まじかったです。完全に世界基準。毎年のように何万人の前で演奏している彼らにしてみればフェスのメインステージなんて大したことはないのかもしれないけど、ファンも冷やかし気分の一見さんも巻き込んで圧倒的にその場を掌握するスタジアムバンドとしての力は本当にすごい。しかもこのセットリスト。シングル曲しかやってないのに、懐メロ大会にもならずコアなファンも満足させる。今まで多くのレジェンドアーティストをフェスで見てきましたけど、その中でも屈指のステージだったと思います。正直この時点で今年のベストアクトはもう決まっちゃったかなという感じでした。

■B'z
1.さまよえる蒼い弾丸
2.Lier! Lier!
3.さよなら傷だらけの日々よ
4.有頂天
5.裸足の女神
6.イチブトゼンブ
7.Still Alive
8.衝動
9.juice
10.ギリギリchop
12.ultra soul

  B’z後はまさに民族大移動の様相で、抜け出すのも大変だった。余韻に浸りつつグッズなどを見てデフガレージに移動。ねごとのサウンドチェック、本人たちが行っていた。その流れでリハ演奏に。「ループ」から、最新シングルとして発売されるスピッツのカバー「空も飛べるはず」。一旦退場し、改めて本編スタート。代表曲「カロン」から、新曲「ALL RIGHT」、そしてBOOM BOOM SATELLITES中野雅之がサウンドプロデュースを務めた「DANCER IN THE HANABIRA」へ。後半ではギターの沙田やベースの藤咲はキーボードやシンセサイザーの前に立つことが多くなり、『ETERNAL BEAT』ではっきりしたダンスミュージックへのアプローチがライブでも前面に出るようになる。蒼山幸子のボーカルはデジタルサウンドとの相性がいいとは思いつつも、きちんとバンドのアンサンブルを押えた中でEDMも取り込んでほしいと個人的には思ったりする(今のところいいバランスだと思いますが)。メンバー全員が曲作りに参加するバンドだけど、特に沙田瑞紀という人のソングライティング能力は非常に高いと思っているので、単純にもっと売れればいいなあと。そんなことを思いました。メンバー全員キュートで魅力的なバンドだけど、僕の隣でずっと踊っていた小学生くらいの男の子がすごくかわいかった。

■ねごと
リハ:ループ、空も飛べるはず
1.カロン
2.ALL RIGHT
3.DANCER IN THE HANABIRA
4.シンクロマニカ
5.ETERNAL BEAT
6.アシンメトリ

(続く)