無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO感想(4)

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO
■2015/08/15@石狩湾新港

https://instagram.com/p/6ZcIAhLF-n/
これから蝋人形にされるとは思えない空。 #RSR15

 ceroの素晴らしいライブの余韻もそこそこにアーステントへと向かう。とてつもない数の人がアーステントの外まで溢れている。通路がふさがれてしまうのでロープで線を引いて整理するほどだった。5年前の再結成の時はサンステージだったし、悪魔復活への期待度の高さからするとアーステントはやや狭かったかもしれない。人波をかき分け、なんとか中ほどの位置を確保した。
 時間になり、メンバー登場。悪魔ミサ曲「創世記」が演奏される。その中、下僕たちに引かれた棺桶の中からデーモン閣下が登場。「聖飢魔II、復活!」と高らかに宣言する。そして「FIRE AFTER FIRE」に突入。今回の復活でもエース清水は不参加で、ジェイル大橋が参加している。続いての「蝋人形の館」で一気に盛り上がりはピーク。惜しげもなく代表曲を繰り出すあたり、フェスでの選曲というものがよくわかっている。続いて、ステージ上にリンゴが登場。ということは、そう、青森県でリンゴを何と呼ぶか。このイニシエーションの時間。老若男女構わず、人間界での日本において非常に恥ずかしい単語を連呼させられるのだ。彼らのミサではおなじみのこのやり取り。なんという恐ろしき悪魔の所業だろうか。そこから「アダムの林檎」になだれ込む。閣下はじめメンバーがかじったリンゴが次々と観客に投げ込まれる。拾った客も一口かじり、また後ろへと投げ回す。次々と悪魔の洗礼を受けていく観客。聖飢魔II完全復活を確信させる、見事なステージングである。この後のMCでは閣下以外のメンバーが事故により札幌入りが遅れた話をし、爆笑の渦に巻き込む。改めてデーモン閣下という人の頭の良さとトーク力に脱帽する。爆笑MCと完璧な演奏力、そして30年を生き抜いた楽曲群。様式美と言ってしまえばそれまでだが、ベテランらしい計算されつくしたエンターテインメントがここにはある。僕のようなリアルタイマーから一見さんまでが同居するフェスにおいても等しく全員を満足させる圧巻のステージだった。

聖飢魔II
1.創世記
2.FIRE AFTER FIRE
3.蝋人形の館
4.アダムの林檎
5.1999 SECRET OBJECT
6.BRAND NEW SONG
7.EL・DO・RA・DO
8.JACK THE RIPPER

 さて。ある意味、今年のライジングで最も注目していたアクト、安全地帯である。「はたして玉置浩二は現れるのか?」「青田典子は当然セットで来るよな」など、ワイドショー的な揶揄を冗談半分で言っていたものの、やはり80年代、自分の中高生時代には重要なバンドだったことは事実。当時の代表曲を網羅するようなセットリストであれば、伝説的なステージになるだろうと期待もしていた。スタンディングエリアほぼ最前、頭上をカメラクレーンが通るくらいの位置で待っていた僕は、ステージに違和感を持っていた。中央付近に、DJ卓のようなものがあるのだ。もちろん、僕の知っている安全地帯にDJメンバーはいない。もしかして彼らも今時のバンドのように同期を使っているのかもしれない。そのマニュピレーター用の卓かな、と不安を掻き消そうとしていた。定刻のSEが鳴り、期待に溢れた観衆が歓声と拍手を送る。バンドの登場を今か今かと待ちわびる。しかし。ステージ上に登場したのは一人のDJであった。当然、見たことの無い人物だ。繰り返すが、僕の知っている安全地帯にDJはいない。大観衆の皆が一つの言葉を思い浮かべただろう。「誰だ」そのDJは、観衆の心情を具現化したような不穏なサウンドとビートを鳴らし始める。そのビートの中に、安全地帯の曲が断片的に姿を現し始める。「ワインレッドの心」「碧い瞳のエリス」「プルシアンブルーの肖像」…昨夜のレベッカのEDMミックスを少し思い出したりもしたが、ここまでは新しい趣向としてこういう盛り上げもまあ、あるのかなくらいに思っていた。いや、思いたかった。
 DJは回し続ける。5分、10分…時間が過ぎるにつれ、観客に不安がよぎる。そして単純に飽きてきた。いつまで続くんだ。もしかしてこのまま終わるんじゃないだろうな…?スタンディングエリアがざわつき始める。ステージ上に変化が現れた。2人の女性ダンサーが登場したのだ。「リズムネイション」の頃のジャネット・ジャクソンのような出で立ちで、2人は踊り始める。ざわつきは止まらない。「もしかしてどちらかが青田典子なんじゃないのか」そんな疑問を持ちながら改めてDJを見ると、彼の着るTシャツには「C.C.Girls」と書かれている。もう、嫌な予感しかなかった。いつしか、時間は15分を過ぎようとしていた。ようやくバンドが登場。ざわついていた観衆も、少し安心して歓声を上げる。生のドラムが響き、ギターのカッティングが鳴る。だいぶ長い演奏の後、ついに玉置浩二が登場。大歓声が沸き起こる。しかし、長い白髪を後ろで結んだその姿は中国映画に出てくる仙人老師か、スターウォーズのオビ・ワンのようだった。まあそれはいい。とにかくやっとライブが始まる。演奏されたのは「じれったい」。皆が思っただろう。「こっちの台詞だよ」と。続いて「悲しみにさよなら」が演奏される。玉置浩二はちゃんと歌っている。いいじゃないか。このまま代表曲を連発してくれよ、と思った。しかし、アウトロで玉置浩二はメンバー紹介をし始めた。演奏は大団円の雰囲気を醸し出している。ドラム、ギター、ベースに続いてダンサーが紹介される「今日復活しました、C.C.ガールズ青田典子藤原理恵!」やっぱりそうだったのか。いやそれよりもちょっと待て。まだ2曲だ。曲が終わる。メンバーは楽器を置く。マジか。ステージ上の彼らはやり切ったような満足そうな表情で互いの健闘を湛えあう。ステージ中央で円陣を組み、手を振って、退場した。呆気にとられる大観衆。35分、2曲。何が何だかわからないうちに終わってしまった。
 とりあえず拍手をしていると、玉置浩二が単独で再登場。ステージを降り、スタンディングエリア前方に設置されたミニステージに立つ。ここぞとばかりに盛り上がる観衆。アコギを手にした玉置浩二はアカペラで歌いだす。「田園」だ。圧倒的な歌唱力。歌い終わると、大歓声。多分、玉置浩二はこの時点で帰ろうとしていたと思う。が、歓声がそれを許さない。彼は「夏の終わりのハーモニー」を歌い始めた。ワンコーラス歌い終わり、大歓声の中、彼は「後は頼んだよ!」と言いステージを降りた。最初にDJが登場してから40分、持ち時間には10分足りていない。これが、僕の見た2015年夏・安全地帯事件の全てだ。ある意味、確かに伝説と言えるステージだったのかもしれない。少なくとも第1回目からライジングサンに参加して、最大の「事件」だったのは間違いない。当初冗談半分で言っていた予想を超えていた。僕はもう笑うしかなかった。

■安全地帯
DJプレイ
1.じれったい
2.悲しみにさよなら
en1.田園(弾き語り)
en2.夏の終わりのハーモニー(アカペラ)

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ナングリーンカレーとタンドリーチキン。

 安全地帯のショックは大きかった。この後、友人たちと落ち合って夕食をとったのだけど、安全地帯の話しかしていなかった。それほどのインパクトだったのは確かだ。しかし、冷静に考えればとんでもない話だ。バンドは実質2曲しか演奏していないのだから。WESSはどういうオファーをして、バンド側はどう応えたのだろう。そしてDJワンツーって誰だ。謎しかない。「後は頼んだ」と言われてもどうすればいいんだ、という空気ではあったが、長めのインターバルと花火によってサンステージの空気がリセットされたのは救いだった。
 こんなに気を取り直したことはないというくらい気を取り直してPerfume。ライジングサンには2012年以来3年ぶりとなる。ステージ上には楽器もDJ卓も(笑)なく、3人のみ。しかし、何と堂々たるステージか。最新曲から懐かしい曲まで、縦横無尽に踊りまくる。PTAコーナーではPA裏まで埋め尽くした大観衆を相手に見事なやり取りを見せる。特にこの日のステージではあ~ちゃんの奮闘(と暴走)が目立った。10年選手の風格すら感じさせる見事なステージだった。彼女らにすれば普通のことかもしれないけど、前のステージがアレだっただけに余計に全うで素晴らしいものに見えた。個人的に「エレクトロ・ワールド」を聞くと条件反射的に涙が出てくるので、フェスで聞けたのはとても嬉しかった。

Perfume
1.Pick Me Up
2.Magic of Love
3.Spending All My Time
4.ナチュラルに恋して
5.パーフェクトスター・パーフェクトスタイル
6.マカロニ
7.FAKE IT
8.エレクトロ・ワールド
9.チョコレートディスコ

花火。 #RSR15
(続く)

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO感想(3)

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO
■2015/08/15@石狩湾新港

 RSR2日目、8時半くらいに起床し、おおよそ10時くらいに会場に着くように家を出る。2日目の荷物は着替えやタオルくらいなので楽なものです。この日も時折雨の予報だったけど、朝の札幌市内はいい天気でした。ただ、札幌市内と会場は天気が変わるのでアテにはなりません。
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今年初メロン。 #RSR15

 予定通り10時に会場着。昨日あまり行っていないサンステ奥のエリアをぶらついてみる。布袋のザンギやDONGURI、なると屋などはこっちのレストランエリアに固まってました。朝飯はここだ!と決定。まだあまり並んでいない中売り切れ前に食べておこうとメロンけずりを購入し、テントに到着。同行の友人たちは風呂から帰ってきてひと眠りしていたり、会場内をぶらついていたり。みんな揃った中でDONGURIのプレートやらなんやらで豪勢なブランチ。ビールとモヒートもあっという間に飲み干し、腹いっぱいです。
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今年もどんぐりプレートで豪勢なブランチ。 #RSR15
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イェー!こちらこそイェー!! #RSR15

 石狩南中学吹奏楽部とスカパラのコラボがエライ良かったと噂に聞きつつ、テントで休んだりバッジガチャをしたりとなんとなく過ごす昼下がり。この時間が一番ヒマでした。一発目に何を見るかを全く考えてませんでした。N'夙川BOYSを見るためにアーステントに移動。満腹のせいか疲れのせいか立ったまま寝そうになるくらい眠くなってました。N'夙川BOYSはジャンクなガレージ感とポップさが同居していて楽しいです。いいカオス。
 途中で抜け、レッドスターに移動。怒髪天待ち。10分くらい前に着くと既にかなりの人。老若男女幅広い客層なのは彼らならではという感じ。登場した増子兄ィはカンフーポーズを決めるなどテンション高め。「アストロ球団応援歌」からの堂々たるスタート。夏・フェス・酒!乾杯!とばかりにお祭りバンドとしてのアンセムを次々と投下する。昨年1月の武道館から始まった自身の30周年イベント行脚も終わり、次はフラカン武道館、スクービー野音だ!と、彼らに対するエールを贈る。「夕焼けのメロディー」のカバーを聞いていて彼らの熱い友情を感じた。安全地帯を若干笑いにするMCもあったけど、まさかそれ以上の事件が待っているとはこの時には知る由もありません。松田聖子夏の扉」のカバーもあり、夏祭り感満載の楽しいステージ。フェスの場で、期待される役割を確実に全うするバンドは本当にカッコいいと思います。

怒髪天
1.アストロ球団応援歌
2.酒燃料爆進曲
3.ビール・オア・ダイ
4.喰うために働いて 生きるために唄え!
5.真夏のキリギリス
6.己DANCE
7.夕焼けのメロディー
8.あの夏のバラード
9.夏の扉
10.宜しく候

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今年もやっぱり練り歩いてたBBBB御一行様。 #RSR15

 終わって直行でレインボーシャングリラへ移動。ちょうどceroのサウンドチェックが終わるところだった。「マウンテン・マウンテン」などを演奏していた模様。聞きたかった。割と時間ギリギリでしたが、まだ余裕はありステージ正面を確保できました。ちょうど目の前に知り合いがいたのでしばし談笑。間違いなく『Obscure Ride』というアルバムは2015年のベストに名前の挙がる作品。それだけに、このステージに対する期待は高かった。そして実際、その期待を上回るものだったと断言します。「C.E.R.O」から「Elephant Ghost」の流れでのテンションの爆発で一気にテンションはマックス。そしてこの夏一番のサマーアンセム「Summer Soul」で涙腺はすでに決壊。ゆらゆらと揺れる陽炎が目の前でスパークするようなドラッギーな感覚。切なさと熱さが反復運動をするかのような感情の揺らぎ。知らず知らずに体を揺らしたくなるビートと、脳に直接染み込んでくるかのようなクセになるメロディー。肉体と精神、双方に大きく影響する音楽は「精神と時の部屋」にいるかのような錯覚を覚えさせる。よくわからないことを書いている気がするけど、要は完全にイッちゃってるということです。「Orphans」では、どこか宗教的な感動すらがそこにはあった。ステージ上での彼らは確実に神々しい光を放っていた。「C.T.C.」のパーティーグルーヴ、「Yellow Magus」のラスボス感、そして「マイ・ロスト・シティー」でのカオティックな狂騒。セットリストの全てが「あるべきところにある」という感覚。フェスという時間的にも限られた場でこれほどの充足感を得られることはなかなかない。あの場にいた人の多くはこう感じただろうと思う。文句なく、今年のベストアクトと言える素晴らしい時間でした。

cero
1.C.E.R.O
2.Elephant Ghost
3.Summer Soul
4.船上パーティー
5.ticktack
6.Orphans
7.Contemporary Tokyo Cruise
8.Yellow Magus
9.マイ・ロスト・シティー

(続く)

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO感想(2)

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO
■2015/08/14@石狩湾新港

 友人たちと合流し、レッドスター横のレストランエリアで夕食。ラコスバーガーをいただく。そしてサンステージに移動し、アジカンを待つ。そのままレッドスターにとどまってThe Dayを見るのと迷ったが、久々なのもあってアジカンを選択。アジカンを見るのは前回RSRに来た2012年(プリプリが出た年)以来だと思う。あの当時のゴッチは震災後の諸々のアクションとともに、アジカンのバンド運営的にもかなり尖っていた時期のようにも思う。あまりステージでも笑顔を見せなかった記憶がある。今年のアジカンは「センスレス」から始まり、『Wonder Future』の曲を交えつつ、ほぼベストヒットパレード。フェスでのメインステージ初日のトリにふさわしい選曲でイケイケのステージだった。誤解を恐れずに言えば、いい意味でアジカンのコピーバンドのようなセットリストだったと思います。ボサボサのパーマ頭によれよれのトレーナーで登場したゴッチもリラックスして楽しそうだ(笑顔という感じではなかったが)。政治的なことについて何か言うかと危惧していたのだけど、直接的な言及はなかった。ただ、「ホント楽しい。最高だね。」という言葉の後、「こんな楽しいフェス、おれたちがおじいちゃんになっても続けようよ。50年後、60年後、70年後も。」ということを言っていた。「70年後」という言葉に今年ならではの意味を持たせたのだと思う。アンコールに応えて出てきて演奏したのは「遥か彼方」。盛り上がらないわけはないのです。アンコールでゴッチはトレーナーを脱いでTシャツ姿だった。胸には大きく「LOVE」と書かれていた。

ASIAN KUNG-FU GENERATION
1.センスレス
2.君という花
3.ソラニン
4.君の街まで
5.ループ&ループ
6.Easter/復活祭
7.Little Lennon/小さなレノン
8.Planet of The Apes/猿の惑星
9.リライト
10.転がる岩、君に朝が降る
11.今を生きて
en1.遥か彼方

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夜のイングラムもカッコいいな。 #RSR15

 ちょっとテントに寄って少し休んだ後、アーステントに。REBECCA Electronic Session。わざわざ「Electronic Session」と銘打っている以上、通常のバンドセットとは違うことは分かっているけれど、果たしてどういったものになるのか不安が残る。ステージ上にはDJテーブルがあるのみ。時間になり、DJとして土橋安騎夫氏が登場。EDMアレンジでレベッカの曲を流し始める。そして黒のドレスをまとったNOKKOも登場。ひらひらと舞い踊りながら、リミックスされたアレンジでレベッカの曲を歌い始める。このDJリミックスバージョンの音源はアルバムとして発売されるらしい。それもあっての今回のステージだったのだと思います。それはまあいいですが、残念だったのはバックトラックがその音源そのままだったのか、ボーカルが乗っているのです。つまり、音源のボーカルとNOKKOが生で歌っているボーカルと、両方重なっていたのです。これは折角なので生のボーカルだけで聞きたかった。NOKKOの声は聞く限り衰えも感じられなかったので、勿体なかったと思います。EDMアレンジのサウンド自体は最先端のバキバキというよりはまあ、こんなもんかなという印象。正直誰得のリミックスなのかわかりませんが、リリースされたら気軽に使ってみてもいいかもと思えるものでした。セトリとしては代表曲ばかりで楽しかったです。アンコールに応えて二人が再登場しましたが、「時間がなくて、これしか曲を用意してこなかったのですいません。」と、急遽トークショーに(笑)。レベッカとして北海道に来た時の思い出話などしておりました。いろんな意味でアフターパーティー感に溢れるステージだったと思います。

REBECCA Electronic Session
1.MOON
2.Friends
3.Little Darling
4.RASPBERRY DREAM
5.OLIVE
6.76th star

 そのままレッドスターに移動し、FRIDAY NIGHT SESSIONSに。聞こえてきたのはファレル・ウィリアムスの「HAPPY」。CDを流してるのか?と一瞬思ったら、ライブ演奏でした。すごい完コピ。今年のセッションはSCOOBIE DOがホストとして、様々なゲストボーカルを呼ぶというもの。「HAPPY」はUNCHAINの谷川だったようです。僕は聞いたのはTHE BAWDIESのROY登場から。レイ・チャールズの「What'd I Say」をソウルフルに歌い切りました。続いてはハナレグミマイケル・ジャクソンの「Human Nature」を歌いましたが、マイケル風のラメ手袋を仕込んでの登場。スクービーのコヤマシュウが、初めてライジングサンに出た時にハナレグミと共演できたことが嬉しかった、だからいつか自分たちがホストになっていろんな人と共演する場を作りたかったということを熱く語っていたのだけど、当の永積タカシが全くその時のことを覚えておらず、熱量のギャップが面白かったです。続いては福原美穂。「札幌市南区出身!」と何度も言われてました。昨年もチャボのセッションに登場していたようだけど、今年も登場。「君の瞳に恋してる」を素晴らしいボーカルで熱唱。まだライジングサンには単独のステージとしては出演したことがないので、地元出身の歌姫としてぜひWESSにはお願いしたい。彼女は出るべきでしょう。いよいよクライマックス、レキシ池ちゃん登場。「最近フェスで押すと全部オレのせいにされる」と爆笑MCを展開。コヤマシュウと池ちゃん、二人が話すと完全に漫才。全然演奏が始まらない。よく見たら池ちゃんの手にはハナレグミがつけてたマイケル手袋が。そんなこんなでアース・ウィンド&ファイヤーの「セプテンバー」をいいかげんな歌詞でコール&レスポンス。ほっといたら1時間くらいやってそうだった。最後は全員で「ヤングマン」を振りつきで。お祭り感満載のセッション。楽しかった。そしてアンコールに応えて登場したバンドが呼び込んだのは…御大、つのだ☆ひろ!本物!「メリージェーン」を驚愕のボーカルで歌い切り、レッドスターはミラーボール輝くディスコのチークタイムと化したのです。
 お腹一杯のセッションを終え、ちょっと涼しくなったので豚汁をいただき、会場を後に。ここ数年の恒例ですが自分のテントは友人に貸し、僕は札幌の自宅へ帰って寝ることにしてます。ベッドで寝れるし充電もできるしシャワーも浴びれるし最高です。
(2日目に続く)
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初日終了。帰ります。また明日! #RSR15

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO感想(1)

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO
■2015/08/14@石狩湾新港

 17度目のライジングサン。当然のように、今年も参戦です。行かないという理由がありません。今年は前夜祭のみならず、前々夜祭つまり水曜日から前乗りした道外の友人たちと飲み、気分を盛り上げてました。この時点でスペシャル。超楽しい。
 若干の二日酔いをたたえつつ、車に荷物を積み込み出発です。ここ数年のパターンですが、10時開場に向け8時に待ち合わせ、実質の出発はおよそ8時半。コンビニに立ち寄りつつ会場近くに着くのは大体9時半頃。今年はなんとか会場内駐車場をゲットできたので移動は楽です。会場に行くには新川通り経由で小樽側から行く道と国道231号(石狩街道)経由で行く道とがあるわけですが、経験上前者の方がスムーズに駐車場に入れる気がします。開場前には駐車場に入り、入場の列に並ぶことができました。ただこの入場待ちが恐ろしい行列。ゲートをくぐったのは10時半くらいでした。テントサイトの引き換えはスムーズに済み、エビのエリアへ移動。今年は映画のキャンペーンでパトレイバーの実物大イングラムが来ており、会場の警備は万全。安心して楽しめそうです。天気は晴れたり曇ったり。雨の予報もあり。天気はかなり細かく変わりそうな感じ。日中はかなりいい天気で気温も上がってきました。そんな中無事にテント設置。ようやくビールと昼食。
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コンディション・グリーン。 #RSR15
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からあげ丼とビール!ようやく!
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最高かよ。
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cheers! #RSR15

 今年のライブ一発目はレッドスターフィールドでサニーデイサービス。レッドスターはステージの位置や向きが若干変わったのと、ステージそのものが少し大きくなったようです。サニーデイは再結成後にライジングサンで見て以来、のはず。キーボードのサポートはなく、3人のみでのステージ。昨年リリースの新作『Sunny』からを含め、代表曲もきちんと押さえての余裕感あるセット。ちょうど日が陰ってきた午後の空気にすごくハマっていた。全く無理してないリラックスした演奏がとても心地よい。曽我部ソロでもなくソカバンでもなく、サニーデイにしかない空気感というものは確実にあって、それが曽我部恵一いうところの「書生の音楽」ということなんだろう。文学的でありながら、実は野外の空気によく合うのだ。夏のアンセム「サマーソルジャー」を聞きながら泣きそうになってしまった。この曲を聞くと、1999年の朝日を思い出します。

サニーデイサービス
1.恋におちたら
2.八月の息子
3.スロウライダー
4.アビーロードごっこ
5.NOW
6.白い恋人
7.青春狂走曲
8.シルバー・スター
9.ONE DAY
10.サマーソルジャー

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ホントだなんかレッド大きくなってる。

 後ろのレッドスターカフェを見ると9㎜ Parabellum Bulletの菅原卓郎と中村和彦がアコースティックライブをやっていた。福山雅治中森明菜の「飾りじゃないのよ涙は」、9㎜の「The Revolutionary」などを演奏。「Black Market Blues」ではアコギだとカッコつかないということでギターリフパートを客に歌わせてました。最近はモッシュがきついのでフェスでも9㎜を見る機会はあまりないのですがこういうのはたまにはいいですね。
 さてどうしよう、と困ったときのボヘミアンガーデン。特に見たいものがなくのんびりしたいときはボヘミアンで飲みながら横になるのが最高です。ちょうど堀江博久 Presents "Lounge Bohemia"のサウンドチェックをやってました。そのまま友人たちとPA前に横たわり、うたた寝しながら心地よい音に体を任せてました。気持ち良い。そのうち原田知世が出てきて「ロマンス」とか歌ってました。もう、超かわいい。僕よりも全然年上なんだけど、関係ない。昨年、森高千里を見てそのキュートさに驚愕しましたが、それに匹敵しますね。pupaで見たのも数年以上前でしたけど、その可愛さに衰えなし。恐るべし原田知世

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一天俄かにかき曇る。

 陽も傾いたころ、アーステントに向け移動開始。この時間になってぽつぽつと雨が落ちてきた。それなりに降ってきたのだけど、すぐにやみそうな気配もある。一応、テントに寄って雨具の準備だけはしておく。MONOEYESはかなりパンパンだったので後ろの方で見てました。動く細美氏を見るのは多分5年ぶりくらい。MONOEYESの曲は最初のEPしか聞いてないのでアルバムの曲は分かりませんが、非常にストレートなポップパンクという感じで、あまり難しいことを考えずに盛り上がれるもの。音楽的に深く複雑化していっているHIATUSとは真逆のアプローチで音楽をやりたかったのだと思う。ただ、じゃあELLEGARDENじゃダメなの?という疑問はどうしても出てくるのだけど、エルレはついてくる重荷がハンパない状況になっているのだと思う。そういう部分から解放されて初期衝動のままに音楽を楽しむ場所がほしかったのかも、などと推測したりする。そんな感じのステージでした。

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若干冷えてきたこの時間に今年初けずり。全然並んでない。

 レッドスターに移動。佐野元春まであと10分くらいというところだったけど、意外とステージ前はまだ空いていて正面前から5~6人目くらいの位置を確保。デビュー30周年ライヴも含め、近年の佐野元春もフォローしていたけど、リリースされたばかりの最新作『BLOOD MOON』もいいアルバムだったのでその勢いでの夏フェス参戦に期待は膨らむ。レジェンド枠と言っていい大ベテランだけど、バリバリの現役でもある。そして、ここで初めて生の佐野元春を見るという若い観客もいるだろう。どういうステージになるのか楽しみだった。THE COYOTE BANDはHOBO KING BANDに比べて若い(と言ってもメンバーは僕と同世代だが)。レイドバックしたブルース感よりはロックンロールの疾走感が前面に出る演奏が彼らの魅力だと思う。当然、古いレパートリーもそうしたテイストのアレンジになる。特に違うのはホーンセクションがいないので、サックスなどがリードしていたフレーズも鍵盤やギターが担うことになる。「君をさがしている」でいきなりその特色が露わになっていた。「国のための準備」の前には70年目の終戦記念日を前にして少し政治的なMCを。「今、僕たちの国の政治は、ちょっととっ散らかっている。」と、彼らしい言葉を紡ぐ。ここで「安倍政権にNOを」とか直接的な表現に行かないのが元春らしい。そういう状況の中でどのようなスタンスでものを考えるのか、ということに終始するのだ。ポリティカルな姿勢を打ち出すことはあっても、彼はアジテーターではなく、あくまでもオブザーバーなのだ。新作からの曲を挟み、「少し古い曲をやってもいいかい?」と元春は言う。「もし歌詞を知っていたら、一緒に歌ってほしい」そう言って始まったのはあのイントロのドラム。「サムデイ」だ。一気にレッドスター全体がどよめきと歓声で揺れる。
老若男女全てが拳を上げて合唱する。まさに必勝のアンセムである。続いて「約束の橋」へ。歓声はやむことがない。「アンジェリーナ」の前に、「僕は35年前この曲でデビューした。この曲で日本の音楽シーンを驚かせてやろうと思った。その思いは今でも変わっていない」というようなことを言った。とてつもなくカッコいいと思う。実際、この日も「アンジェリーナ」は最高のロックンロールだった。35年前のデビュー曲が懐メロではなく、着心地の悪いサイズの違う服でもなく、今鳴るべき曲として鳴っているのが本当にすごいと思う。現役ロックミュージシャンとしての矜持と、大ベテランとしてのフェスでの役目、どちらも満足する素晴らしいステージでした。

佐野元春 & THE COYOTE BAND
1.君をさがしている
2.La Vita E Bella
3.ポーラスタア
4.国のための準備
5.優しい闇
6.境界線
7.サムデイ
8.約束の橋
9.アンジェリーナ

シロップ劇場~サイケデリック後遺症~

syrup16g tour 2015『Kranke』
■2015/07/03@オリックス劇場

 昨年の「再発」ツアーの時は、あのシロップが復活するという事実に興奮を抑えきれなかった。「五十嵐は生きていたのか?」「歌えるのか?」「そもそも、人前に出られるのか?」など、様々な思いを胸に会場に赴いた。それに比べれば今回は冷静にフラットな気持ちでライヴに臨めた気がする。とは言ってもまたいついなくなるかわからないので、シロップのライヴを見られる現実を当たり前だとまでは思えない。こうして五十嵐がステージに立つことを幸せに思うばかりだ。
 会場のオリックス劇場は3階席まである椅子席のホール。キャパは2000人クラスか。個人的に椅子席でシロップのライヴを見るのは2008年の武道館以来になる。新作ミニアルバム『Kranke』から「songline」のSEが流れる中緞帳が上がり、3人がステージに現れる。「新曲やりに来ました」という五十嵐の言葉通り、『Kranke』からの曲はすべて演奏。昨年の『Hurt』も含み、過去の曲がそこにちりばめられるセット。大きく分けると、「冷たい掌」から「Stop brain」までの前半、「My Song」~「吐く血」までの中盤。そして後半という感じ。前半は割と激しい曲を中心に攻める。五十嵐のテンションは高かったようで、寝転がってギターを弾いたりしていた。ライブハウスだとよく見えなかったかもしれないが、ホールだったので上から寝てるところもよく見えました(自分は2階のせり出し席だった)。
 今回のセットでキーになるのは中盤だと思う。ミディアムテンポの曲を中心にじっくり聞かせるパートという感じで、『Kranke』のジャケットにもあったオイルアートのビジュアルがスクリーンに映し出されてサイケデリックな雰囲気を醸し出す。意図的なのかどうか、『HELL-SEE』の曲がここに固まっている。攻めているときにはかなり歪んでいるギターが、ここでは完全にニューウェーブの音の作り。もっと簡単に言えば、ポリスのアンディ・サマーズ。アルペジオになると特にまんまである。個人的にこういうタイプのサウンドが好きなので、『HELL-SEE』は嫌いになれないアルバムだし、この日もこの中盤が聞いてて一番楽しかった。
 何か不満があるのかというくらいに中畑が叩きまくる「Share the light」イントロのドラムを合図にライヴは一気にクライマックスに突入する。「天才」「真空」「神のカルマ」など、怒涛の展開。2階席だったのでメンバーの表情までは見えなかったけど、やはり昨年のツアーよりもリラックスして演奏自体を楽しんでいたような気がする。五十嵐はMCのたびに「ありがとう」を連発していた。過去の曲は万遍なく選ばれていたように思えるけど、『COPY』からは1曲もなかった。昨年のツアーではやっていたので意図があってのことなのかはわからない。本編後半の展開の中で「生活」くらいはやってほしかったかなと思う(東京ではアンコールでやっていたらしい。クソっ)。
 あと椅子席で、全員が立って見ていたわけではないのもあって僕が一番いいと思った中盤の展開でも客席の空気としてはダレる部分も正直あった気がする。隣のやつは寝てたし(ありえない)。スタンディングならそんなこともなかったのかもしれない。あとは昨年のツアー時に言っていたように「このツアーが終わったら外出しない。外に出るの苦痛」にならないことを祈るばかり。また、待ってます。

■SET LIST
1.songline(SE)
2.冷たい掌
3.生きているよりマシさ
4.To be honor
5.HELPLESS
6.Stop brain
7.My Song
8.明日を落としても
9.正常
10.シーツ
11.吐く血
12.Share the light
13.天才
14.真空
15.パープルムカデ
16.神のカルマ
17.Thank you
<アンコール1>
18.vampire's store
19.落堕
<アンコール2>
20.リアル

Kranke

Kranke