無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO感想(1)

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO
■2015/08/14@石狩湾新港

 17度目のライジングサン。当然のように、今年も参戦です。行かないという理由がありません。今年は前夜祭のみならず、前々夜祭つまり水曜日から前乗りした道外の友人たちと飲み、気分を盛り上げてました。この時点でスペシャル。超楽しい。
 若干の二日酔いをたたえつつ、車に荷物を積み込み出発です。ここ数年のパターンですが、10時開場に向け8時に待ち合わせ、実質の出発はおよそ8時半。コンビニに立ち寄りつつ会場近くに着くのは大体9時半頃。今年はなんとか会場内駐車場をゲットできたので移動は楽です。会場に行くには新川通り経由で小樽側から行く道と国道231号(石狩街道)経由で行く道とがあるわけですが、経験上前者の方がスムーズに駐車場に入れる気がします。開場前には駐車場に入り、入場の列に並ぶことができました。ただこの入場待ちが恐ろしい行列。ゲートをくぐったのは10時半くらいでした。テントサイトの引き換えはスムーズに済み、エビのエリアへ移動。今年は映画のキャンペーンでパトレイバーの実物大イングラムが来ており、会場の警備は万全。安心して楽しめそうです。天気は晴れたり曇ったり。雨の予報もあり。天気はかなり細かく変わりそうな感じ。日中はかなりいい天気で気温も上がってきました。そんな中無事にテント設置。ようやくビールと昼食。
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コンディション・グリーン。 #RSR15
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からあげ丼とビール!ようやく!
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最高かよ。
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cheers! #RSR15

 今年のライブ一発目はレッドスターフィールドでサニーデイサービス。レッドスターはステージの位置や向きが若干変わったのと、ステージそのものが少し大きくなったようです。サニーデイは再結成後にライジングサンで見て以来、のはず。キーボードのサポートはなく、3人のみでのステージ。昨年リリースの新作『Sunny』からを含め、代表曲もきちんと押さえての余裕感あるセット。ちょうど日が陰ってきた午後の空気にすごくハマっていた。全く無理してないリラックスした演奏がとても心地よい。曽我部ソロでもなくソカバンでもなく、サニーデイにしかない空気感というものは確実にあって、それが曽我部恵一いうところの「書生の音楽」ということなんだろう。文学的でありながら、実は野外の空気によく合うのだ。夏のアンセム「サマーソルジャー」を聞きながら泣きそうになってしまった。この曲を聞くと、1999年の朝日を思い出します。

サニーデイサービス
1.恋におちたら
2.八月の息子
3.スロウライダー
4.アビーロードごっこ
5.NOW
6.白い恋人
7.青春狂走曲
8.シルバー・スター
9.ONE DAY
10.サマーソルジャー

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ホントだなんかレッド大きくなってる。

 後ろのレッドスターカフェを見ると9㎜ Parabellum Bulletの菅原卓郎と中村和彦がアコースティックライブをやっていた。福山雅治中森明菜の「飾りじゃないのよ涙は」、9㎜の「The Revolutionary」などを演奏。「Black Market Blues」ではアコギだとカッコつかないということでギターリフパートを客に歌わせてました。最近はモッシュがきついのでフェスでも9㎜を見る機会はあまりないのですがこういうのはたまにはいいですね。
 さてどうしよう、と困ったときのボヘミアンガーデン。特に見たいものがなくのんびりしたいときはボヘミアンで飲みながら横になるのが最高です。ちょうど堀江博久 Presents "Lounge Bohemia"のサウンドチェックをやってました。そのまま友人たちとPA前に横たわり、うたた寝しながら心地よい音に体を任せてました。気持ち良い。そのうち原田知世が出てきて「ロマンス」とか歌ってました。もう、超かわいい。僕よりも全然年上なんだけど、関係ない。昨年、森高千里を見てそのキュートさに驚愕しましたが、それに匹敵しますね。pupaで見たのも数年以上前でしたけど、その可愛さに衰えなし。恐るべし原田知世

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一天俄かにかき曇る。

 陽も傾いたころ、アーステントに向け移動開始。この時間になってぽつぽつと雨が落ちてきた。それなりに降ってきたのだけど、すぐにやみそうな気配もある。一応、テントに寄って雨具の準備だけはしておく。MONOEYESはかなりパンパンだったので後ろの方で見てました。動く細美氏を見るのは多分5年ぶりくらい。MONOEYESの曲は最初のEPしか聞いてないのでアルバムの曲は分かりませんが、非常にストレートなポップパンクという感じで、あまり難しいことを考えずに盛り上がれるもの。音楽的に深く複雑化していっているHIATUSとは真逆のアプローチで音楽をやりたかったのだと思う。ただ、じゃあELLEGARDENじゃダメなの?という疑問はどうしても出てくるのだけど、エルレはついてくる重荷がハンパない状況になっているのだと思う。そういう部分から解放されて初期衝動のままに音楽を楽しむ場所がほしかったのかも、などと推測したりする。そんな感じのステージでした。

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若干冷えてきたこの時間に今年初けずり。全然並んでない。

 レッドスターに移動。佐野元春まであと10分くらいというところだったけど、意外とステージ前はまだ空いていて正面前から5~6人目くらいの位置を確保。デビュー30周年ライヴも含め、近年の佐野元春もフォローしていたけど、リリースされたばかりの最新作『BLOOD MOON』もいいアルバムだったのでその勢いでの夏フェス参戦に期待は膨らむ。レジェンド枠と言っていい大ベテランだけど、バリバリの現役でもある。そして、ここで初めて生の佐野元春を見るという若い観客もいるだろう。どういうステージになるのか楽しみだった。THE COYOTE BANDはHOBO KING BANDに比べて若い(と言ってもメンバーは僕と同世代だが)。レイドバックしたブルース感よりはロックンロールの疾走感が前面に出る演奏が彼らの魅力だと思う。当然、古いレパートリーもそうしたテイストのアレンジになる。特に違うのはホーンセクションがいないので、サックスなどがリードしていたフレーズも鍵盤やギターが担うことになる。「君をさがしている」でいきなりその特色が露わになっていた。「国のための準備」の前には70年目の終戦記念日を前にして少し政治的なMCを。「今、僕たちの国の政治は、ちょっととっ散らかっている。」と、彼らしい言葉を紡ぐ。ここで「安倍政権にNOを」とか直接的な表現に行かないのが元春らしい。そういう状況の中でどのようなスタンスでものを考えるのか、ということに終始するのだ。ポリティカルな姿勢を打ち出すことはあっても、彼はアジテーターではなく、あくまでもオブザーバーなのだ。新作からの曲を挟み、「少し古い曲をやってもいいかい?」と元春は言う。「もし歌詞を知っていたら、一緒に歌ってほしい」そう言って始まったのはあのイントロのドラム。「サムデイ」だ。一気にレッドスター全体がどよめきと歓声で揺れる。
老若男女全てが拳を上げて合唱する。まさに必勝のアンセムである。続いて「約束の橋」へ。歓声はやむことがない。「アンジェリーナ」の前に、「僕は35年前この曲でデビューした。この曲で日本の音楽シーンを驚かせてやろうと思った。その思いは今でも変わっていない」というようなことを言った。とてつもなくカッコいいと思う。実際、この日も「アンジェリーナ」は最高のロックンロールだった。35年前のデビュー曲が懐メロではなく、着心地の悪いサイズの違う服でもなく、今鳴るべき曲として鳴っているのが本当にすごいと思う。現役ロックミュージシャンとしての矜持と、大ベテランとしてのフェスでの役目、どちらも満足する素晴らしいステージでした。

佐野元春 & THE COYOTE BAND
1.君をさがしている
2.La Vita E Bella
3.ポーラスタア
4.国のための準備
5.優しい闇
6.境界線
7.サムデイ
8.約束の橋
9.アンジェリーナ