無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

2015年・私的ベスト10~音楽編(1)~

 2016年ももう1ヶ月が過ぎようというのに、今更こんな記事をアップしていいのかという気もしますが、すでに即時性をとうの昔に捨てているブログです。個人の忘備録として残す意味で書かせていただきます。

■10位:共鳴 / チャットモンチー

共鳴(初回生産限定盤)(DVD付)

共鳴(初回生産限定盤)(DVD付)

 本作についてはブログでも記事を書いたのでそちらもどうぞ。
magro.hatenablog.com
 3人→2人→4人×2編成という、ここ数年のチャットモンチーの変遷から、彼女らの姿が見えにくくなってしまった人もいるかもしれない。けれど、2人で作った前作も新編成での今作も、チャットモンチーの本質というのをあぶり出し、再確認するという意味では共通していたと思う。橋本と福岡の2人さえいれば、チャットモンチーの核はぶれない。その上で、キャリア上最もプロフェッショナルに作られた今作はなぜチャットモンチーが唯一無二のバンドなのかをしっかりと見せている。あと10年、20年位したら彼女らは少年ナイフのようなバンドになってるんじゃないだろうか。


■9位:The Magic Whip / Blur

ザ・マジック・ウィップ

ザ・マジック・ウィップ

 まさか2015年になってブラーの新作が聞けるとは思わなかった。前作『シンク・タンク』は2003年で、その夏のサマーソニックでライヴも見たのだけど、その時にはグレアム・コクソンはいなかった。オリジナル・ラインナップが復活しての新作であることに意味がある。音楽的にもこの12年間でデーモンとグレアムが各々追及してきた方向性が垣間見える。ゴリラズでのヒップホップサウンド、デーモンのソロでのアフリカや中南米へのアプローチ、グレアムのソロでのエレクトリック・フォーク的な手法。それらをエッセンスとして現在のブラーとしてまとめている。かつてのブラーの名盤と比較してもそれは詮無いこと。色々経験して年を経て、また道を同じくするというストーリーが僕は好きなのだ。生きてればいろいろあるものです。

Blur - Lonesome Street (Official Video)


■8位:葡萄 / サザンオールスターズ

 サザンオールスターズの本質は大衆芸能であるということだと思っている。簡単に言うと下世話であるということ。NHKのドキュメンタリーではなく、民放のワイドショーでなくてはいけない。しかし、彼らを称して国民的バンドと持ち上げる風潮がそれを邪魔する。桑田佳佑が60になった今でもステージで下ネタを連発するのはそこに抗おうとしているからではないだろうか。音楽的には、近年になく桑田のルーツのひとつである昭和歌謡テイストが前面に出ているのが好感。バラエティに富んでいながらサウンドプロダクトが散漫になっていないのはさすが。ジャケットは洋画家・岡田三郎助「あやめの衣」からの引用だが、これも上品さとエロさが共存するサザンの魅力をうまく伝えていると思う。


■7位:Chasing Yesterday / Noel Gallagher's High Flying Birds

チェイシング・イエスタデイ(初回生産限定盤)

チェイシング・イエスタデイ(初回生産限定盤)

 個人的には、このアルバムでオアシスの再結成は事実上なくなったんじゃないだろうかと思うくらい、音楽的に充実している。ライヴやツアーを重ねたことでバンドとしての一体感も増し、同時にサウンドの幅も広がった。ノエルがすごいのは自分の作るメロディを信じていることだ。ソングライターなんだから当たり前だろう、と思うかもしれないけど、心底信じきると言うのは難しいと思う。信じているから、どんなにシンプルでもそのまま出すことを恐れない。比べては何だが、シンプルなロックンロールバンドを標榜しながら曲としての魅力に乏しかったビーディ・アイとはそこが違う。Aメロとサビだけで充分、コードなんて3つあればいいだろう、という割り切り方ができる。逆説的だけど、バンド的でないアレンジもメロディーに対する信頼があるからこそ光っているのだ。

Noel Gallagher's High Flying Birds "In The Heat Of The Moment" (Official Video)


■6位:ジパング / 水曜日のカンパネラ

ジパング

ジパング

 音楽的にはヒップホップに分類されるのかもしれないけど、コムアイという人のキャラやユニット全体の打ち出し方含めてすごくポップであることを意識した戦略的なユニットだと思う。曲の持つ不思議な中毒性やMVの面白さなど、彼らを語る上で重要なファクターはいろいろあるけれど、一言でいうとあっけらかんとした無邪気さ、のようなものではないかと思う。大事なことは何も言っていない。けれど、引っかかる。本作はセールスも評価も彼らのキャリアの中でおおきなポイントとなるアルバムだと思う。
 しかし、気になるのは1曲目「シャクシャイン」。シャクシャインというのは17世紀、現在の北海道日高地方のアイヌの首長の名である。松前藩の交易独占や不平等貿易に対し、アイヌが蜂起したいわゆる「シャクシャインの戦い」の中心人物だ。この事件は北海道民であれば義務教育で地域の歴史として習うであろう重要な事件である。それでなくとも、アイヌの辿った歴史や、現在も残る差別は北海道においては避けて通れない、非常にナーバスな問題だ。この「シャクシャイン」という曲の歌詞は特にアイヌに関係したものではなく、ただ単に北海道の地名や特産物を列挙するもの。「余裕綽々シャクシャイン」と、リズムと語呂のよさ、北海道に関係した名詞ということで大した意味もなく付けたものだと思う。あっけらかんとした無邪気さがこのユニットの魅力、と先に書いたが、これはその無邪気さが悪いほうに出てしまっていると思う。無邪気を装い、無邪気に見えるようにするには見えないところでそれ以上に気を配らなくてはいけないはずだ。この曲に関してはちょっとそれが甘かったと思う。北海道民でも気にならないという人もいるだろうし、他の地域の人なら尚更そうだと思う。けど僕はどうしても看過できませんでした。

水曜日のカンパネラ『シャクシャイン』

(5位~1位に続きます)

2015年・私的ベスト10~映画編~

 2015年はできるだけ劇場に映画を見に行こう、と思ってました。50本を目標にしてましたが、結局45本程度。もう少しでした。DVDやBS・CSも含めれば120本くらい。そこそこがんばれた感じです。今年劇場で見たものの中からベスト10を選んでみます。

■10位:クリード チャンプを継ぐ男
http://wwws.warnerbros.co.jp/creed/index.html

 監督がスタローンに「アポロの息子を主人公にロッキーの続編を作りたい」と直談判して実現したこの映画。脚本も書いた監督はまだ長編を1本しか撮ったことのない若手です。その彼にチャンスを与えたスタローン。それは、最初のロッキーを作るとき、スタローンが彼と同様に無名の若者だったからに他ならないのです。物語は偉大な父の背中を追いかけつつもその名前に立ち向かう勇気を持てない主人公を、父の親友であったロッキーがトレーナーとして支える形で進みます。この主人公とロッキーの疑似親子関係が物語の軸。ロッキーも寄る年波には勝てず、過酷な運命が彼を襲うのです。チャンピオンからのタイトルマッチへの指名に「2人で戦おう」と彼らは運命に立ち向かうのです。物語の骨子自体は最初の「ロッキー」とほぼ同じ。しかしそれがわかっていたとしてもやはり感動的です。クライマックスであの音楽が流れるタイミングも完璧。ラストは号泣でした。スタローンの演技はキャリア最高と言えるもので、もしかしたらアカデミー助演男優賞ノミネートもあるかもしれません。「ロッキー」地上波放送での荻昌弘氏の名解説は、この映画にも当てはまります。「これは、人生するか・しないかの分かれ道で「する」を選んだ勇気ある人々の物語なのです」

荻昌弘・映画解説 「ロッキー」


■9位:バクマン
ドリームベガスカジノ;おすすめオンラインカジノ - Bakuman Movie

 原作実写映画化作品としては、自分の中で『ピンポン』を超えたかもしれません。漫画を描くという作業を視覚的に盛り上げるアクションシーンとして昇華したのも良かったです。個人的に、原作ではサイコーの漫画へのモチベーションや行動原理が小豆との恋愛でしかないのが非常に気に入らなく、それに比べれば純粋に漫画への情熱で描いている新妻エイジの方がよほど主人公らしいと思っていました。この映画版では最初の動機は原作通りですが、バッサリとその後の展開で切ってしまった要素があるのです。それにより主人公が主人公として輝きだしている。クライマックスの展開もいかにもジャンプ的な友情・努力・勝利に結びついていました。サイコーの家族要素も叔父の漫画家・川口たろうのみで、父母や祖父などは出てこない。この辺の割り切り方、改変は映画としてタイトになり話が煩雑にならず正解だったと思います。 何より全編漫画への愛とリスペクトが溢れていたのが素晴らしい。エンドクレジットは思わず涙が出ましたよ。間違いなく、今年見た中ではベスト・エンドクレジット賞です。


■8位:ミッション:インポッシブル/ローグネイション


 トム・クルーズ主演シリーズの5作目。前作で顕著だったチーム感は継続し、敵か味方かわからない女スパイの存在がいいアクセントになって物語を推進します。予告編でも流れまくってた、飛行機にしがみつく壮絶なシーン(あれ、アバンタイトルなんですよね)をはじめとするスリリングなアクションはジェットコースター的に押し寄せてきてこれでもかと盛り上げる。ラストの大逆転劇はシリーズ最高と言ってもいい快感で、これぞ「スパイ大作戦」というカタルシスを与えてくれます。トム・クルーズが堂々たる主役なのは間違いないですが、メンバーそれぞれが持ち味を発揮して敵を追い詰める、というチームプレイが醍醐味です。単純に見て楽しめる娯楽作として、非常に正しい映画だと思います。前作、今作と来て、いよいよこのシリーズこれ以上の作品は難しいんじゃないか、というレベルに達した気がします。今年は『キングスマン』も面白かったし、スパイものが盛り上がってましたね。


■7位:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
All Star Coffee

 かつてヒーロー映画で一世を風靡するも世間から忘れられた俳優がブロードウェイの舞台で復活しようとする。その男をティム・バートン版「バットマン」で主役を演じたマイケル・キートンが演じるというところにメタ・ドキュメンタリー感があります。若い時は自分が天才で何でもできると勘違いする時期が多かれ少なかれ誰にでもあるでしょう。そうではないと気がついてなお、老いてから再び羽ばたけるのか。この映画はそうした世の中年全員に対する応援映画だと思います。マイケル・キートンが劇中で使う超能力は一見物語に不要にも思えるが、若かりし頃に抱いていた無敵感や自信のメタファーではないでしょうか。全編ワンカットで撮影されたかのような映像と編集は圧巻の一語。撮影監督は『ゼロ・グラビティ』でもアカデミー受賞したエマニュエル・ルベツキ。この映画も一見地味ですがどうやって撮られたのかわからないほどよくできていると思います。


■6位:セッション
映画『セッション』公式サイト

 ジャズを題材に音楽大学を舞台としているけど、その点でリアルを描き出そうという作劇では全くなかったと思います。あくまでも舞台装置、ツールであって、実際はこんな鬼教官はいないとか、授業内容がおかしいとか、それを理由に評価しようとするのがそもそもおかしいという気がします。ラストの演奏シーンのカタルシスは確かに凄まじいものがありました。ただ、個人的には満点評価とはいかず。それは途中の細かい描写で説明不足や回収されないシーンなど、脚本上の瑕疵が散見されたことによります。ただ、それを加味してもパワフルで圧倒されるエネルギー溢れた映画でした。あと、僕は大学のジャズ教育については知りませんが、少なくともアマチュアの音楽指導の場においては多かれ少なかれ「恐怖」で統率しようとする指導者はいると思います。この映画におけるフレッチャー教官のような極端な例は少ないでしょうが、映画として誇張して描いたという意味では全然アリなレベルだと思います。なので、その点では荒唐無稽とは全く思いませんでした。ジャンルは違えど、アマチュアで音楽やってる人は一度は見ることをオススメします。


■5位:シェフ 三ツ星フードトラック始めました
#映画シェフ 三ツ星フードトラック始めました | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

 一人の男と彼の人生、親子関係、夫婦関係、それらの再生の物語です。『アイアンマン』『アベンジャーズ』で監督や製作を努めたジョン・ファブローが監督・製作・脚本・主演でイチから作ったインディー映画。一流レストランのシェフが諸々あってフードトラックの屋台から再出発、というのは超大作映画からインディーへ、というジョン・ファブロー自身の道程にも重なります。全てを捨てて裸一貫での再出発。劇中のキャラに役者自身が投影されています。あと何よりも、料理シーンとその数々の料理の美味そうなこと。いつ、誰が、どこで、どんなシチュエーションで食事をするか。フード理論的にも非常にオイシい作品ではないでしょうか。ラテン系で陽気な音楽も映画のいいスパイスになっている。スカーレット・ヨハンソンやロバート・ダウニーJr.の出演も含めて、監督の人柄が現れる心温まる一品でした。見ていてすごくポジティブな気持ちになれます。大好きです。


■4位:インサイド・ヘッド
インサイド・ヘッド|映画/ブルーレイ・DVD・デジタル配信|ディズニー公式

 ピクサー恐るべし。傑作でした。ディズニーでは『ベイマックス』もアクションとしてよくできていましたが、これは娯楽作な上に、内容が深い。これは子供よりも大人、特に年頃の子どもを持つ親が見るべき映画だと思います。良かったのは、哀しい思い出も美しいものだって事、記憶や思い出は楽しいとか哀しいとか単純に分類されるのではなくそれぞれがグラデーションなんだという事、大人になるにつれて失うものもあるけど、失うこと自体はマイナスではない事、がキチンと描かれてた所。それをいちいち台詞じゃなくビジュアルでわかるように見せるんですよね。ヨロコビがカナシミの存在意義を知ることで人は大人になるという。自分、そうだ、こんな経験あった!と思い返すことも見ていて多々ありました。向こうのアニメは生身の役者が演じてないだけで、演出やカメラワークも普通の映画と同じように撮るので、本当にキャラクターに命が吹き込まれているように見えます。頭の中の感情をキャラクター化するという突飛なアイディアがこれほど感動的な娯楽映画になるとは、驚きです。唯一残念だったのは上映最初にドリカムの日本版主題歌?がフルコーラスで流れた事です。いらねえよ。


■3位:スター・ウォーズ/フォースの覚醒
スター・ウォーズ/フォースの覚醒|映画/ブルーレイ・DVD・デジタル配信 | スター・ウォーズ公式

 今年最大の話題作なのは間違いないし、事前の期待値も相当だった割に、批判は少ないと思います。実際、実行不可能とすら思える仕事をよくぞJ.J.エイブラムスはやり遂げたと思います。J.J.エイブラムスは相当ep4を意識して撮ったと思われます。展開も、絵の構図もかなり近い。カンティーナ酒場的なシーンもあったし。ここからまた三部作が始まる、というリブート感はかなり強くあったのではないでしょうか。ep4オマージュというか、同シリーズじゃなきゃただのパクリみたいなシーンや台詞も多々ありますが、その辺はJ.J.の映画オタク性がなせる部分だったのかもなあ、と。個人的にはハン・ソロのあの台詞が聞けたのでよかったです。BB-8は超かわいかった。あのかわいさは異常です。R2-D2と並んだ時の「弟よ」「兄ちゃん!」感がたまらんのですよ。そして、レイ役のデイジー・リドリーも良かった。健康的で、アップに耐えるいい面構え。強さとしなやかさを兼ね備えたヒロインになりそうな予感がします。僕は公開初日に見に行きましたが、明日からはもう「エピソード7を皆知ってしまった世界」な訳で、その分岐点という最高のお祭りと興奮を体験できたのは映画好き冥利に尽きます。予告編なしでルーカスフィルムのロゴから一気にあの画面、あの音楽。キターーー!感ハンパなし。開演、終演時に自然と拍手が沸き起こるなんて、なかなか映画館で体験できません。次のep8はここまでのお祭りにはならないでしょうし、この体験も含めて、最高だったのです。


■2位:6才のボクが、大人になるまで。
6才のボクが、大人になるまで。 - Wikipedia

 純粋には昨年公開の映画なのですが、劇場で見たのが今年だったので。素晴らしかったです。ブログにも記事書きました。
magro.hatenablog.com

 12年かけて、子役の子が6歳から18歳になるまでを実際に撮影し続けた異例の映画ですが、こんな突飛な企画が無事に作品として完成したことが驚きだし、賞賛したいです。母親役のパトリシア・アークエットはアカデミー助演女優賞も納得の演技はもとより、30代半ばから40代後半という、女性にとってはある意味厳しい12年間を残酷なまでに見続けられる仕事だったと言えます。受賞はその女優魂に対するご褒美と言えるかも。同じようなことは「ビフォア三部作」のジュリー・デルピーにも言えます。彼女は20代前半のピチピチした美少女から40代前半までを演じているが、隠しきれない年齢の残酷さはどうしても感じてしまう。ただ、ジュリー・デルピーは別の作品なのに対し、パトリシア・アークエットは本作一本の中で12年間の変化を見られてしまうわけで。やはり勇気のいる仕事だったのでは、と思います。母親の離婚や再婚など、それなりに事件は起こりますが、殺人事件に巻き込まれるとかそういう意味でドラマチックなことは何も起こらない。でも、3時間を感じさせない時間の積み重ね方は見事としか言いようがありません。ラストでメイソン君が言うように、「人生とは瞬間の積み重ね」なのだ。ある少年が青年になるまでを定点観測したこの映画は、どんな人にも同じような時間が流れていたのだということを強く再認識させます。この映画は多くの人が過ごすであろう、平凡な人生への賛歌なのです。


■1位:マッド・マックス/怒りのデス・ロード

<ブラック&クローム>エディション 2017.2.8 ブルーレイ発売 映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』公式サイト

 アクションの見せ方、1シーン1シーンの完成度、演出のキレ、どれをとっても五億点です。歴史的意義とかはおいといても、単純に作品としてみれば『2』は超えたんじゃないかと思います。冒頭30分で作品の世界観がきっちり提示されて、余計なセリフがほとんどないのに映像でそれがきちんと伝わる。この手際の良さ。ジョージ・ミラー御年70歳、キレてます。恐れ入りました。物語はシンプル極まりなく、「行って、帰ってくるだけ」の映画。その中に登場人物それぞれの人生や物語が透けて見える。それも台詞で説明するのではなく、表情や、映像や、仕草によってです。劇中で最もそうした個人のドラマが薄いのが実は主人公のマックスという。それがこの映画におけるマックスの神話性というものを強めている気がします。このやり方が成立するなら、今後も「マッドマックス」シリーズを作れるというフォーマットが完成したと言えるかもしれません。アクションは壮絶の一言。ほぼCGなしでこのカーアクションの連続は、今の時代あり得ないほどのレベルです。2015年の今こんな映画ができてしまったら、今後のアクション映画の作り方が変わってしまうのではという気すらします。だって、この凄まじい映画が基準になってしまうのですから。文句なく今年の1位だし、後から振り返っても2015年は怒りのデス・ロードだったと記憶される作品だと思います。新たなカルト映画の金字塔。ありがとうございました。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO感想(5)

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO
■2015/08/15@石狩湾新港

 一旦ステージから離れ、一休みしてから再度サンステージ前に戻る。ステージ上にはドア、窓をはじめソファーやテーブル、本棚などが設置されている。「民生の部屋」と題された通り、部屋を模したセットに次々とゲストが来る趣向と予想。徹子の部屋のテーマが流れ、ドアから奥田民生が現れる。部屋に設置されたビールサーバーでビールをつぎ、ソファーに座って一言「こんばんわ黒柳徹子です」。フェスのメインステージとは思えないゆるい雰囲気の中、アコギを取り出し弾き語りで歌いだす。こんなシチュエーションで「イージュー☆ライダー」を聞ける贅沢。ほどなくしてインターホンが鳴り、最初のゲスト、Perfumeが登場。先ほどまで出演していたそのままの衣装で、郷土の先輩民生の部屋に遊びに来たのだ。ゆるゆるな会話の後、「レーザービーム」を共に歌う。口パクでない、生歌のPerfume「レーザービーム」を聞く機会などまずないので非常に貴重。そして、ソファに座ったまま振付をなんとなく踊る3人がとても可愛かった。
 続いてインターホンが鳴り、2組目のゲスト登場。その正体は、何と松崎しげる。大御所の登場に観衆も沸く。まさかである。楽屋裏で相当飲んでいたらしく、いたくご機嫌である。松崎しげるもギターをつま弾きながら即興で民生の歌を歌ったり、「オーバー・ザ・レインボウ」やビートルズを歌う。鼻歌レベルながら死ぬほど歌がうまいのがわかる。そしてサウスポーのギターも驚くほどうまい。長い芸歴は伊達ではない。そしてやはり、松崎しげるが出てきたからにはこの曲を歌わないわけにはいかない。というわけで「愛のメモリー」を熱唱。この時の民生は邪魔をしてはならぬとギターやコーラスも入れず、ただただうろちょろして聞き入るのみだった。その歌唱力と存在感に圧倒された後、3組目のゲスト登場。髪型がアフロだったので一瞬?となったが、トータス松本登場。前のゲストで緊張していたせいか、民生のトータスいじりが炸裂する。「なんでウルフルズでライジング出ないの?ジョインアライヴに出てるから?」など、きわどいトークも。「ええねん」「いい女」と2曲歌い、トータス退場。正直、松崎しげるの後のトータスは彼の歌がダメというわけじゃなく、ゲストの格やインパクトの点で順番が逆の方がよかったと思う。彼もやりにくかっただろう。その後は民生一人で2曲披露。時間を予定よりオーバーしつつの楽しい時間だった。おそらくは50歳を迎えた民生の特別ステージ的な感じだったのだと思うが、サンステージでこれをやるかというゆるゆるな企画だった。だからこそあえて、というのもあったとは思うけれど。願わくば来年以降はボヘミアンあたりでゆったりと同じようなことをやってほしい。ずっと聞いてたい。

■民生の部屋
1.夕陽ヶ丘のサンセット
2.イージュー☆ライダー
3.レーザービーム(w/ Perfume
4.即興・民生の歌(松崎しげる
5.Over The Rainbow(松崎しげる
6.I Saw Her Standing There(w/ 松崎しげる
7.愛のメモリー松崎しげる
8.ええねん(w/ トータス松本
9.いい女(w/ トータス松本
10.さすらい
11.風は西から

 民生の部屋が時間オーバーしたのでバックホーンには間に合わない。横目で見つつ、レインボーに行きTONE PARKでしばし踊る。ちょうどテイトウワが出てきたあたりでした。当初の目論みでは銀杏BOYSに行くつもりだったのですが、デフガレージに今年一度も入ってないということもあり急遽思い立って全く見たことのない打首獄門同好会に行くことに。ちょうどサウンドチェックが終わるところでした。準備が整い、登場するやいなや客席にうまい棒をガンガン投げ始めます。なんだこりゃ。そして始まったのはうまい棒の歌。昨年の溺れたエビの検査報告書ではかっぱえびせんを投げてましたが、今年はうまい棒です。その後も日本の米は世界一とか、岩下の新生姜の歌とかラーメン二郎の歌とか歌っていて、なんだかよくわかりませんがとても楽しい。テンション高くてガレージっぽいけど曲のテーマが前述の通りだし曲の展開がわかりやすいので初めて聞いた曲でも簡単に盛り上がれる。VJ?の人がいて曲名とか歌詞とかがディスプレイに映し出されるので「はいここサビ!」的なキメも一発でわかる仕掛けになってる。そういう意味でもすごくポップなバンドだと思いました。「最後の曲は、今の時間帯にぴったりの歌と北海道の歌と2曲用意してるんですが、皆さんどっちがいいですか」と観客にアンケート調査。結果、北海道の歌に。何かと思ったら「水曜どうでしょう」の歌だった。ありがとうございます。非常に楽しかったです。こういう知らないバンドとの出会いがあるからフェスは楽しい。

■打首獄門同好会
1.デリシャスティック
2.日本の米は世界一
3.まごパワー
4.New Gingeration
5.私を二郎に連れてって
6.How do you like the pie?

 ラストはアーステントに降谷建志を見に行く。初ソロアルバムがなかなか良かったので。バンドメンバーはkjの他はPABLO(G / Pay money To my Pain)、武史(B / 山嵐、OZROSAURUS)、渡辺シュンスケ(Key / Schroeder-Headz)、桜井誠(Dr / Dragon Ash)の計5名。ソロアルバム『EVERYTHING BECOMES THE MUSIC』では殆どすべての楽器をkjが担当していた。曲調も彼のセンチメンタルでエモーショナルなメロディーがフィーチャーされたものが多く、DAとは違う世界を広げたものだった。そのエモーショナルさがバンドで演奏されることでより強調されるようになっていたのが興味深い。気心知れた仲間たちとのアンサンブルはまるで何年もバンドをやっているかのような阿吽の呼吸を見せ、静かにクライマックスへと向かっていく。DAで無理してるとまでは思わないけれども、より素直に人間・降谷建志の姿が露わになったようなライブだった。

降谷建志
1.colors
2.good shepherd
3.angel falls
4.swallow dive
5.P board
6.dance with wolves
7.sleepin' bird
8.stairway
9.for a little while
10.one voice

 終わった途端、「テンフィに急げ―――!」と袖に消えるkj。すでにサンステージではトリの10-FEETが始まっている。遠巻きに音を聞きつつ、のんびりとラーメンを食べることに。東の空は白んできていた。楽しかったお祭りも終わる。毎年、朝日を見るのは高揚感とともに寂しさが強く残る。ライジングサンというフェスは自分にとって本当に特別な場所で、毎年この場所に帰ってくることを楽しみにつまらない日常を生きていると言ってもいい。ひとりで参加していた時も、奥さんと来ていた時も、仲間と過ごす今も、それは変わらないのだ。また一年、頑張って生きて行こうと思います。今年も楽しかったです。ありがとうございました。また来年。
(了)
https://instagram.com/p/6alAo7LF6m/
朝は来る。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO感想(4)

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO
■2015/08/15@石狩湾新港

https://instagram.com/p/6ZcIAhLF-n/
これから蝋人形にされるとは思えない空。 #RSR15

 ceroの素晴らしいライブの余韻もそこそこにアーステントへと向かう。とてつもない数の人がアーステントの外まで溢れている。通路がふさがれてしまうのでロープで線を引いて整理するほどだった。5年前の再結成の時はサンステージだったし、悪魔復活への期待度の高さからするとアーステントはやや狭かったかもしれない。人波をかき分け、なんとか中ほどの位置を確保した。
 時間になり、メンバー登場。悪魔ミサ曲「創世記」が演奏される。その中、下僕たちに引かれた棺桶の中からデーモン閣下が登場。「聖飢魔II、復活!」と高らかに宣言する。そして「FIRE AFTER FIRE」に突入。今回の復活でもエース清水は不参加で、ジェイル大橋が参加している。続いての「蝋人形の館」で一気に盛り上がりはピーク。惜しげもなく代表曲を繰り出すあたり、フェスでの選曲というものがよくわかっている。続いて、ステージ上にリンゴが登場。ということは、そう、青森県でリンゴを何と呼ぶか。このイニシエーションの時間。老若男女構わず、人間界での日本において非常に恥ずかしい単語を連呼させられるのだ。彼らのミサではおなじみのこのやり取り。なんという恐ろしき悪魔の所業だろうか。そこから「アダムの林檎」になだれ込む。閣下はじめメンバーがかじったリンゴが次々と観客に投げ込まれる。拾った客も一口かじり、また後ろへと投げ回す。次々と悪魔の洗礼を受けていく観客。聖飢魔II完全復活を確信させる、見事なステージングである。この後のMCでは閣下以外のメンバーが事故により札幌入りが遅れた話をし、爆笑の渦に巻き込む。改めてデーモン閣下という人の頭の良さとトーク力に脱帽する。爆笑MCと完璧な演奏力、そして30年を生き抜いた楽曲群。様式美と言ってしまえばそれまでだが、ベテランらしい計算されつくしたエンターテインメントがここにはある。僕のようなリアルタイマーから一見さんまでが同居するフェスにおいても等しく全員を満足させる圧巻のステージだった。

聖飢魔II
1.創世記
2.FIRE AFTER FIRE
3.蝋人形の館
4.アダムの林檎
5.1999 SECRET OBJECT
6.BRAND NEW SONG
7.EL・DO・RA・DO
8.JACK THE RIPPER

 さて。ある意味、今年のライジングで最も注目していたアクト、安全地帯である。「はたして玉置浩二は現れるのか?」「青田典子は当然セットで来るよな」など、ワイドショー的な揶揄を冗談半分で言っていたものの、やはり80年代、自分の中高生時代には重要なバンドだったことは事実。当時の代表曲を網羅するようなセットリストであれば、伝説的なステージになるだろうと期待もしていた。スタンディングエリアほぼ最前、頭上をカメラクレーンが通るくらいの位置で待っていた僕は、ステージに違和感を持っていた。中央付近に、DJ卓のようなものがあるのだ。もちろん、僕の知っている安全地帯にDJメンバーはいない。もしかして彼らも今時のバンドのように同期を使っているのかもしれない。そのマニュピレーター用の卓かな、と不安を掻き消そうとしていた。定刻のSEが鳴り、期待に溢れた観衆が歓声と拍手を送る。バンドの登場を今か今かと待ちわびる。しかし。ステージ上に登場したのは一人のDJであった。当然、見たことの無い人物だ。繰り返すが、僕の知っている安全地帯にDJはいない。大観衆の皆が一つの言葉を思い浮かべただろう。「誰だ」そのDJは、観衆の心情を具現化したような不穏なサウンドとビートを鳴らし始める。そのビートの中に、安全地帯の曲が断片的に姿を現し始める。「ワインレッドの心」「碧い瞳のエリス」「プルシアンブルーの肖像」…昨夜のレベッカのEDMミックスを少し思い出したりもしたが、ここまでは新しい趣向としてこういう盛り上げもまあ、あるのかなくらいに思っていた。いや、思いたかった。
 DJは回し続ける。5分、10分…時間が過ぎるにつれ、観客に不安がよぎる。そして単純に飽きてきた。いつまで続くんだ。もしかしてこのまま終わるんじゃないだろうな…?スタンディングエリアがざわつき始める。ステージ上に変化が現れた。2人の女性ダンサーが登場したのだ。「リズムネイション」の頃のジャネット・ジャクソンのような出で立ちで、2人は踊り始める。ざわつきは止まらない。「もしかしてどちらかが青田典子なんじゃないのか」そんな疑問を持ちながら改めてDJを見ると、彼の着るTシャツには「C.C.Girls」と書かれている。もう、嫌な予感しかなかった。いつしか、時間は15分を過ぎようとしていた。ようやくバンドが登場。ざわついていた観衆も、少し安心して歓声を上げる。生のドラムが響き、ギターのカッティングが鳴る。だいぶ長い演奏の後、ついに玉置浩二が登場。大歓声が沸き起こる。しかし、長い白髪を後ろで結んだその姿は中国映画に出てくる仙人老師か、スターウォーズのオビ・ワンのようだった。まあそれはいい。とにかくやっとライブが始まる。演奏されたのは「じれったい」。皆が思っただろう。「こっちの台詞だよ」と。続いて「悲しみにさよなら」が演奏される。玉置浩二はちゃんと歌っている。いいじゃないか。このまま代表曲を連発してくれよ、と思った。しかし、アウトロで玉置浩二はメンバー紹介をし始めた。演奏は大団円の雰囲気を醸し出している。ドラム、ギター、ベースに続いてダンサーが紹介される「今日復活しました、C.C.ガールズ青田典子藤原理恵!」やっぱりそうだったのか。いやそれよりもちょっと待て。まだ2曲だ。曲が終わる。メンバーは楽器を置く。マジか。ステージ上の彼らはやり切ったような満足そうな表情で互いの健闘を湛えあう。ステージ中央で円陣を組み、手を振って、退場した。呆気にとられる大観衆。35分、2曲。何が何だかわからないうちに終わってしまった。
 とりあえず拍手をしていると、玉置浩二が単独で再登場。ステージを降り、スタンディングエリア前方に設置されたミニステージに立つ。ここぞとばかりに盛り上がる観衆。アコギを手にした玉置浩二はアカペラで歌いだす。「田園」だ。圧倒的な歌唱力。歌い終わると、大歓声。多分、玉置浩二はこの時点で帰ろうとしていたと思う。が、歓声がそれを許さない。彼は「夏の終わりのハーモニー」を歌い始めた。ワンコーラス歌い終わり、大歓声の中、彼は「後は頼んだよ!」と言いステージを降りた。最初にDJが登場してから40分、持ち時間には10分足りていない。これが、僕の見た2015年夏・安全地帯事件の全てだ。ある意味、確かに伝説と言えるステージだったのかもしれない。少なくとも第1回目からライジングサンに参加して、最大の「事件」だったのは間違いない。当初冗談半分で言っていた予想を超えていた。僕はもう笑うしかなかった。

■安全地帯
DJプレイ
1.じれったい
2.悲しみにさよなら
en1.田園(弾き語り)
en2.夏の終わりのハーモニー(アカペラ)

https://instagram.com/p/6ZwBxnLF8U/
ナングリーンカレーとタンドリーチキン。

 安全地帯のショックは大きかった。この後、友人たちと落ち合って夕食をとったのだけど、安全地帯の話しかしていなかった。それほどのインパクトだったのは確かだ。しかし、冷静に考えればとんでもない話だ。バンドは実質2曲しか演奏していないのだから。WESSはどういうオファーをして、バンド側はどう応えたのだろう。そしてDJワンツーって誰だ。謎しかない。「後は頼んだ」と言われてもどうすればいいんだ、という空気ではあったが、長めのインターバルと花火によってサンステージの空気がリセットされたのは救いだった。
 こんなに気を取り直したことはないというくらい気を取り直してPerfume。ライジングサンには2012年以来3年ぶりとなる。ステージ上には楽器もDJ卓も(笑)なく、3人のみ。しかし、何と堂々たるステージか。最新曲から懐かしい曲まで、縦横無尽に踊りまくる。PTAコーナーではPA裏まで埋め尽くした大観衆を相手に見事なやり取りを見せる。特にこの日のステージではあ~ちゃんの奮闘(と暴走)が目立った。10年選手の風格すら感じさせる見事なステージだった。彼女らにすれば普通のことかもしれないけど、前のステージがアレだっただけに余計に全うで素晴らしいものに見えた。個人的に「エレクトロ・ワールド」を聞くと条件反射的に涙が出てくるので、フェスで聞けたのはとても嬉しかった。

Perfume
1.Pick Me Up
2.Magic of Love
3.Spending All My Time
4.ナチュラルに恋して
5.パーフェクトスター・パーフェクトスタイル
6.マカロニ
7.FAKE IT
8.エレクトロ・ワールド
9.チョコレートディスコ

花火。 #RSR15
(続く)

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO感想(3)

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO
■2015/08/15@石狩湾新港

 RSR2日目、8時半くらいに起床し、おおよそ10時くらいに会場に着くように家を出る。2日目の荷物は着替えやタオルくらいなので楽なものです。この日も時折雨の予報だったけど、朝の札幌市内はいい天気でした。ただ、札幌市内と会場は天気が変わるのでアテにはなりません。
https://instagram.com/p/6YsJHCLF05/
今年初メロン。 #RSR15

 予定通り10時に会場着。昨日あまり行っていないサンステ奥のエリアをぶらついてみる。布袋のザンギやDONGURI、なると屋などはこっちのレストランエリアに固まってました。朝飯はここだ!と決定。まだあまり並んでいない中売り切れ前に食べておこうとメロンけずりを購入し、テントに到着。同行の友人たちは風呂から帰ってきてひと眠りしていたり、会場内をぶらついていたり。みんな揃った中でDONGURIのプレートやらなんやらで豪勢なブランチ。ビールとモヒートもあっという間に飲み干し、腹いっぱいです。
https://instagram.com/p/6YxOFQLF_s/
今年もどんぐりプレートで豪勢なブランチ。 #RSR15
https://instagram.com/p/6Yx3moLFw5/
イェー!こちらこそイェー!! #RSR15

 石狩南中学吹奏楽部とスカパラのコラボがエライ良かったと噂に聞きつつ、テントで休んだりバッジガチャをしたりとなんとなく過ごす昼下がり。この時間が一番ヒマでした。一発目に何を見るかを全く考えてませんでした。N'夙川BOYSを見るためにアーステントに移動。満腹のせいか疲れのせいか立ったまま寝そうになるくらい眠くなってました。N'夙川BOYSはジャンクなガレージ感とポップさが同居していて楽しいです。いいカオス。
 途中で抜け、レッドスターに移動。怒髪天待ち。10分くらい前に着くと既にかなりの人。老若男女幅広い客層なのは彼らならではという感じ。登場した増子兄ィはカンフーポーズを決めるなどテンション高め。「アストロ球団応援歌」からの堂々たるスタート。夏・フェス・酒!乾杯!とばかりにお祭りバンドとしてのアンセムを次々と投下する。昨年1月の武道館から始まった自身の30周年イベント行脚も終わり、次はフラカン武道館、スクービー野音だ!と、彼らに対するエールを贈る。「夕焼けのメロディー」のカバーを聞いていて彼らの熱い友情を感じた。安全地帯を若干笑いにするMCもあったけど、まさかそれ以上の事件が待っているとはこの時には知る由もありません。松田聖子夏の扉」のカバーもあり、夏祭り感満載の楽しいステージ。フェスの場で、期待される役割を確実に全うするバンドは本当にカッコいいと思います。

怒髪天
1.アストロ球団応援歌
2.酒燃料爆進曲
3.ビール・オア・ダイ
4.喰うために働いて 生きるために唄え!
5.真夏のキリギリス
6.己DANCE
7.夕焼けのメロディー
8.あの夏のバラード
9.夏の扉
10.宜しく候

https://instagram.com/p/6ZMzwLrF64/
今年もやっぱり練り歩いてたBBBB御一行様。 #RSR15

 終わって直行でレインボーシャングリラへ移動。ちょうどceroのサウンドチェックが終わるところだった。「マウンテン・マウンテン」などを演奏していた模様。聞きたかった。割と時間ギリギリでしたが、まだ余裕はありステージ正面を確保できました。ちょうど目の前に知り合いがいたのでしばし談笑。間違いなく『Obscure Ride』というアルバムは2015年のベストに名前の挙がる作品。それだけに、このステージに対する期待は高かった。そして実際、その期待を上回るものだったと断言します。「C.E.R.O」から「Elephant Ghost」の流れでのテンションの爆発で一気にテンションはマックス。そしてこの夏一番のサマーアンセム「Summer Soul」で涙腺はすでに決壊。ゆらゆらと揺れる陽炎が目の前でスパークするようなドラッギーな感覚。切なさと熱さが反復運動をするかのような感情の揺らぎ。知らず知らずに体を揺らしたくなるビートと、脳に直接染み込んでくるかのようなクセになるメロディー。肉体と精神、双方に大きく影響する音楽は「精神と時の部屋」にいるかのような錯覚を覚えさせる。よくわからないことを書いている気がするけど、要は完全にイッちゃってるということです。「Orphans」では、どこか宗教的な感動すらがそこにはあった。ステージ上での彼らは確実に神々しい光を放っていた。「C.T.C.」のパーティーグルーヴ、「Yellow Magus」のラスボス感、そして「マイ・ロスト・シティー」でのカオティックな狂騒。セットリストの全てが「あるべきところにある」という感覚。フェスという時間的にも限られた場でこれほどの充足感を得られることはなかなかない。あの場にいた人の多くはこう感じただろうと思う。文句なく、今年のベストアクトと言える素晴らしい時間でした。

cero
1.C.E.R.O
2.Elephant Ghost
3.Summer Soul
4.船上パーティー
5.ticktack
6.Orphans
7.Contemporary Tokyo Cruise
8.Yellow Magus
9.マイ・ロスト・シティー

(続く)