無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ラッセル苦労。

 いまどき珍しい、歴史ものの娯楽スペクタクル大作。売りはVFXを駆使して現代に蘇ったローマ帝国の巨大コロシアムとその中で行われる戦闘シーン。戦車戦の迫力あるシーンを予告編で見た人もいるだろうけど、要するにアレ。それに興奮して血湧き肉踊ればはっきり言ってそれでいいのだ、この手の映画は。だってストーリーなんてあってないようなものだもん。
 で、確かにお金もかかってるし、戦闘シーンは迫力なんだけど、イマイチ見た後の印象が薄いのはなぜかと考えると、主人公のキャラがちょっと弱いのだ。いまいちどういう性格付けなのかわからない。ヒロインも何を考えてるのかよくわからないところがあった。つまりは脚本の段階で人間が書けてなかったということなのだろう。ローマのコロシアムをどうやって再現するかに製作者側が神経を使いすぎていたのだろうか。その中でまさに悪役というわかりやすいキャラを悪役らしく(それでいて繊細に)演じたホアキン・フェニックスが良かった。
 映像が圧倒的に綺麗で、ああそうか、監督がリドリー・スコットだったなあ、という映画です。終わり。