無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

伝わりやすいということ。

ENO

ENO

 昨年の『NEU』に続くポリシックスメジャー第2弾。爆裂ギターとピコピコシンセ、ヴォコーダーがグワングワンに絡み合うブチ切れ具合はそのままだが、衝動と勢いだけで突っ走っていた前作とは違って幾分整理された印象を受ける。岡野ハジメというプロデューサーの存在もあるだろうが、今回は日本語の歌詞があるのも大きい。もともと言葉遊びのようなものなので歌詞自体に大した意味があるわけではないのだが、ボーカルが単なるサウンドの一部というだけではなく、きちんと言葉を伝えようという工夫が全体になされていると思う。それが最も顕著に表れたのが「BYE BYE RED SNEAKER」。ここにある「ストーリー」に彼らの新機軸を見た気がする。パンク、テクノ、ニューウェーブ、様々な要素を持つバンドであるが、最終的に「ポップ」という進み方を目指しているのかもしれない。今作の分かりやすさ、伝わりやすさはそんなことを感じさせる。
 とすると、あとはこの方向性がライブでどんなことになっているのか。新ベーシストも正式加入してバンドとしての一体感も増しているはず。夏のフェスが楽しみだ。