無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

楽しく怒ろう。

Eduardo And Rodriguez Wage War On T-Wrecks

Eduardo And Rodriguez Wage War On T-Wrecks

 まず1曲目"C'mon"でブッ飛ばされちゃって下さい。それから先はもう、まさにゴッタ煮という楽曲の数々で昇天、であります。まさに速射砲というべきラップを繰り出すヒップホップナンバーあり、1分で終わる超速ハードコアあり、ギターリフで押しまくるヘヴィーなのもあり、ポップな歌ものあり、打ち込みのインストあり、もうなんでもあり。このなんでもありさ加減は全部ひっくるめてロックンロールと言ってしまっていいと思う。遊び心満載の文句なしに楽しいアルバムだ。
 しかし、歌詞を見ると決して楽しいものではなく、アメリカ的なグローバリズム、消費文化に対して明確にアンチを叩きつけるような、社会的問題を扱ったものがほとんどだ。基本的なトーンは怒りである。それをそのままシリアスに出すのではなく、あくまで気持ちいいロックとして昇華するセンスは例えばビースティーボーイズにも通じるところがあるように思う。非常にクールだと思う。こういうバンドがオーストラリアといういわばロック第3国から出てくるのも面白い。冗談と本気を使い分けるのはすごくセンスのいることだ。彼らにはそれがある。