シュールと駄作の微妙な関係。
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2003/08/22
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原作者から音楽から監督から出演者(降谷建志はかなりの好演)まで、前情報を聞く限りすごくロック的な映画だと思って楽しみにしてたのだけど、正直言って思ったほどのめりこめなかった。ストーリーがシュールすぎて時々着いて行けなくなってしまうし、そのシュールな物語が主人公の悪夢の中の出来事なのか現実に起きてる出来事なのかもよく分からない。ヤクでもやってブッ飛んじゃってる人間の空想か?とも思ったけどそれにしては具体的な描写があったりして。
「マルコビッチの穴」を見たときにも感じたことだけど、MV出身の監督作というのはどうもアイディア先行で、この絵を見せたい!みたいな欲が先に来てしまう傾向があるような気がする。一つ一つのシーンを抜き出せばいいものはたくさんあるのだけど、映画全体通すとどうもブツ切れでクライマックスがどこなのかいまいち分からないまま終わってしまうのだ。全体の流れをきちんと見渡して90分なり100分のストーリーをもたせつつ、その中にロックやヒップホップのビートを感じさせる映画だって作れると思うのだけれど。ただ音楽の使い方はさすがに上手く、ラストのクレジットでのASA-CHANG&巡礼「花」はかなりグッと来る。
しかしながら見た後で一番印象に残ったのはこれが映画初出演となる鳥肌実の怪演だった。演技と素の区別が全く分からない、ホントに素晴らしいネジのはずれっぷりだった。アレを見るだけでもお金を払う価値はあると思う。