無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

デリコの愛と毒。

LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA

LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA

 うーん、スキがないっ。この人たちの場合、デビュー作でのメガヒットと、それに伴う状況の変化というものに舞い上がったり己を見失うということとは今までのところ無縁と言えそうだ。もしかしたら「当然じゃん?」くらい思っているのかもしれない。自分たちの出している音、自らの信念に対する確信はそれくらい揺るぎないものなのだろう。前作の数字に惑わされることなく、当然マスに対する迎合などというものもない。前作より英語の比率は増し、サウンド的にも表面的なきらびやかさよりもより深いものになった印象がある。比べれば、地味で、とっつきにくくはなっているかもしれないけれど、足を踏み入れた時の抜けれなさ具合はより確実なものになっている。そしてやはり歌われているのは精神的にも肉体的にもより自由になった「愛」なのだなあ。個人的にはそこまでストレートに言われてしまうと引いてしまうきらいはあるのだけれども、「愛」のない音楽に対する毒を微妙にまぶす攻撃性も見せたりして、そういうところはかなり信頼できる。
 あまり言われないみたいだけれど、90年代前半にラブ・タンバリンズがやろうとして中途半端になってしまったことをこの21世紀に甦らせた、なんて思ってしまうのは僕だけかな?