無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

パーティー!!!!

I Get Wet

I Get Wet

 「パーティー・一直線!」「爆死上等!」「脱いじまえ!」(笑)「宴を求めて三千里」(爆笑)「ヤラせろ!」…このアルバムの邦題をつけた日本盤ディレクターには心からの拍手を贈りたい気分。これが原題の意味とさして違っていないというのも素晴らしい。このアーティスト、このサウンドにしてこのタイトル、そしてこのジャケット。最高。で、訳詞も最高なんだこれが。聞きながらもう笑いが止まらなくてしょうがなかった。それもニヤニヤじゃないのね。ゲラッゲラ笑っちゃうんだもの。すごいわこれ。
 ドカドカうるさいドラム、絶妙に鳴り響く安っぽいキーボード。80年代のL.A.ハードロックを基調にしたハイパー・ロックチューンがズラリ。わかりやすいキャッチーなメロディーと、後先考えないアクセルベタ踏みパフォーマンスがアドレナリンをガンガン放出させてくれる。マジな話、ここまで緩急というのを無視したアルバムというのはそうそうお目にかかれるものではない。ベタなイメージをカリカチュアし、増幅し、一点突破の破壊力を身につけたオリジナルへと昇華する。そういう意味で、例えばギターウルフなんかにも通じる部分がある。インタビューなどを読む限り、かなり論理的に物事を考える人のようだ。確かに、こういう飛び道具を計算づくでできる人というのはとんでもなく頭の良い人であるのは間違いない。「笑えるロック」というものをほぼ無条件で信頼してしまう僕にとって、この男を支持しない理由はない。そしてここまで突き抜けたパワーを出せるというのは、音楽の持つ力を一心に信じてなくては絶対に無理だと言うことは忘れてはいけないと思う。
 「こいつ、ほんとバッカだよなあ」ってのは、ある種の表現者にとって最高の誉め言葉だ、と改めて思う。