「あさま山荘」事件。
- 出版社/メーカー: 角川映画
- 発売日: 2002/11/01
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もちろん連合赤軍は犯罪者であるし、主人公佐々はじめ警察は正義と言うことにはなるのだけど、本作はそうした単純な構図にはなっていない。犯人側の描写はほとんどなく、事件解決までにどのような動きがあったのかを、ドキュメンタリーのようにじっくりと描き出すドラマになっている。敵は、犯人だけではなく、過酷な自然であり、警察内部のメンツ争いであり、マスコミであり、国民からの無言のプレッシャーなのだった。先に見た『KT』と同じく、この当時の日本において起きた事件を、このまま風化させてはいけないという作り手の意識も感じる。または、この事件の最前線で、命をかけて戦っていた勇敢な男たちの姿を忘れてはいけないということかもしれない。山荘のオープンセットは素晴らしいできで、鉄球付のクレーン車で山荘の壁を壊すところなど、まるで当時のニュースを見ているかのようだった。そうした、映像のスペクタクルはすごいと思えど、じゃあ、映画としてどうかというと、ちょっと娯楽作としては煮え切らない。前述の通り、犯人の連合赤軍の描写がほとんどないために、ラストも悪を倒した!的な爽快感がない。作り手の意識の問題だろうけども、素材として美味しいものなだけに勿体無いという気もする。
この事件は僕が生まれる約1ヶ月前に起こったもので、当然僕は後になってから当時のニュース映像などでしか見たことがない。しかし、親からは「アンタがお腹の中にいるときにすごかったんだよ、この事件」と、見るたびに何度も聞かされてきた。そりゃあ89.7%という今も日本のテレビ史上に残る視聴率レコードを樹立した事件なのだ。見てたはずだよね。