無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

リハビリ中断の中断。

The ピーズ

The ピーズ

 5年の空白など感じない。あの空気がそのままここにある。それがまず嬉しい。
 はるのベースはブリブリと唸り、アビさんのギターはとにかくザクザクと漲りまくっている。最近では下北専属ドラマーと化しているっぽいしんいちろう(the pillows)のドラムもとてもいい。ぶっきらぼうな演奏だけど、それがピーズだ。久々に音を出して楽しいという感じがアルバムを通じて感じられる。まずはそれがなきゃ戻ってこなかっただろう。良かった。
 大してドラマチックでもなく、ゴールも見えず、毎日を死ぬまで生きのばしているだけの生活。死なないやつはいない。自分もそう。だから、とりあえず生きてるうちはやれるだけやってみんベー、という反転のパワー。本作は吹っ切れたというか、ネガティブとネガティブをかけあわせるとポジティブになるみたいな印象を受ける。例えばシロップとか、若いバンドにも似たテーマを歌う人間はいる。けれども、はるのそれにはやはり及ばない。ピーズの音楽にはとっくに諦めた感が満ちている。前述の吹っ切れた感とそれは相反するものであるけれども、両方を抱え込みつつ毎日を生きのばすどんづまりの人生。それを歌ってくれるピーズはやはり僕には必要だ。どん底から這い上がるのではなく、そのままどん底で鳴らされるロックンロール。会社をサボる時の僕のテーマソング。