HARRYはまた走り出す。
- アーティスト: HARRY
- 出版社/メーカー: ユニヴァーサルIMS
- 発売日: 2003/02/15
- メディア: CD
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昨年、WEEKEND LOVERSでのステージを見て、まずその不安は消えた。アコギ一本でステージ立つ彼の姿は非常に溌剌としていて、歌うのが、ギターを弾くのが楽しくて仕方がないという感じだった。初めてギターを持った中学生のように笑顔を見せる彼の姿に、僕はいい意味で裏切られたのだった。来るべきソロアルバムは、このライブの形を踏襲したアコースティックでブルージーな雰囲気のものになるのだろうか、とも思った。
そしてスライダーズ解散後約2年半を経て出た、ハリーの初ソロアルバム。これがまた、いい意味で裏切られた。全編バンドによる、軽快でアッパーなロックンロールアルバムだった。「〜さ」「〜だぜ」という言い回しも、ハリーのボーカルのハリ、ツヤ具合も、シンプルだけど力強いギターのストロークも、スライダーズ時代を凌駕する勢いで耳に届いてくる。あれだけのバンドの後、ここまで自分のスタート地点をリセットして新鮮な気持ちで走り出せるアーティストはそうはいないだろう。でもそうだ。スライダーズというバンドは、頑固なロックンロールバンドに見えて、常に新しい形のロック、新しい音を模索しているバンドだった。そして、ハリーは、そのバンドそのものだった人だ。歌詞にも音にも、新しいスタートを切った喜びが溢れている。道さえあれば十分なのだ。
5月病になる前にこれを聞け、てな感じのアルバム。