無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

キャラ立ち6本マイク。

D12 World (Clean)

D12 World (Clean)

 自身の新作も控えているエミネム、2004年の第一弾はD12としての3年ぶりセカンドアルバムとなった。前作『デヴィルズ・ナイト』のヒット、そしてエミネムとのワールド・ツアーで「エミネムのダチども」としてだけではなく、ヒップホップユニットとしての個性と実力を示したわけだが、その評価はこのセカンドでより確実なものとなるだろう。
 エミネムドクター・ドレーのほか、メンバーのコン・アーティスもプロデュースに参加しているし、各メンバーのライムもよりはっきりと各々の個性が前面に出るようになって、よりユニットとしてのスタイルも確立されてきたという印象。シングルの「マイ・バンド」は簡単に言うとエミネムが「これはオレのバンドで、他のメンバーはどうでもいいんだ」という内容の曲だが、事実は全く逆である、という自信がなければここまでできないだろう。「グッド・ダイ・ヤング」はオリジナルメンバーであったバグズ(故人)という人のことを歌ったものだそうだが、これがいいナンバーで泣ける。D12の友情というのはこちらが思う以上に強固なものみたいだ。
 こういう大所帯のヒップホップユニットというとやはりウータン・クランの名前が出てくるけれども、D12の方がユニットとしての一枚岩感を強く感じさせる。もしかして、今後各メンバーがソロを出したりすることもあるのかも知れないが、ウータンのようにソロの集団的なユニットにはならないような気がする。ある目的意識を持った集団の中で個々のキャラクターが立っている、というのはユニットとしてはある意味理想的なたたずまいじゃないだろうか。つまりそれはゴレンジャーやガッチャマン、サイボーグ009であり、ゴマキ加入までのモーニング娘。なのである。エミネムは確かにアカレンジャーであり大鷲の健であり島村ジョーであり、安倍なつみであるのだけど、やはりそれだけではユニットは機能しないのである。