一緒に ここから 離れよう
- アーティスト: Syrup 16g
- 出版社/メーカー: UNIVERSAL SIGMA(P)(M)
- 発売日: 2008/01/30
- メディア: CD
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Syrup16gの曲はほとんど全てが五十嵐隆という個人から出てきたものであるが、彼個人でその曲を鳴らせたかというと、そうではない。端から見ればそれでもいいだろう、と思うのだが、彼の中ではそうではなかった。バンドじゃなければならなかった。そのバンドは、Syrup16gでなければならなかった。解散発表後、彼のインタビューを読んだが、意外なほどに純粋なバンドへの想いが彼の中にあることを知った。青臭いほどに純粋で、だからこそ一度崩れると決して戻らない幻想。Syrup16gというバンドは、五十嵐というコミュニケーション不全者が唯一社会とつながることのできる場所だったのだろうし、彼にとって青春の全てだったのだろう。それはもうすぐ終わる。
孤独と絶望と、その裏にある人間の醜さをあけすけに歌うバンドだった。それでいて、全てを捨ててネガティブになってしまい、本当に世を捨てるような行為とは反対の思いを聞き手に喚起させるバンドだった。中途半端な音楽ではなかった分、中途半端に好きとか嫌いとか言えるバンドでもなかった。だから、僕のように『COPY』を聞いて自分のためのバンドだ、と思った人はこの最後のアルバムまでずっと付き合ってきたことだろう。
青春は先週で終わった。思春期は過ぎた。でも、生きることは終わらない。五十嵐はこの先、音楽を続けるのだろうか。続ける気になるのだろうか。しかしそれよりも、このバンドの最後を明日しっかりと武道館で見届けようと思う。それが僕の使命と義務であると、勝手に思っている。