無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

中途半端リメイク。

ONE PIECE エピソードオブチョッパー+ 冬に咲く、奇跡の桜
http://www.toei-anim.co.jp/movie/2008_onepiece/
 ONE PIECE劇場版第9作は、チョッパー登場のエピソードをリアレンジしたもの。但し、麦わら海賊団は現在の編成になっているので、ビビやカルーがいなくてロビンとフランキーがいるし、船もゴーイング・メリー号ではなくサウザンド・サニー号になっている。それ以外の基本エピソードは原作に沿っているが細かい部分で違いもあり、パラレル・ワールド的な外伝として楽しむべきものだろう。各キャラクターの細かい紹介などはないので、原作やシリーズを知っているという前提で見に行かなければならない。まあ、こういう映画の場合はそれが普通だと思うけど。
 物語の主軸はチョッパーとヒルルクの過去エピソードなので、ここにしっかりと時間をかけている。120分とこれまでの劇場版に比べても長い上映時間だったけど、その1/3くらいは回想シーンに使っていたと思う。個人的には原作の中でも好きなエピソードのひとつだし、ペットボトル2本分くらいは泣いた。正直、作り手としてもここが描けていればいい、くらいのテンションだったんじゃないのかな。このエピソード作るなら、泣けなきゃウソです。
 ちょっと残念なのはその分、クライマックスの戦闘シーンがやや物足りなかったこと。ルフィはすでに「ギア2」「ギア3」を使える設定だし、仲間も原作時より増えているので、麦わら海賊団の戦闘力自体が原作時とは違っている。そこで、ワポル側にムッシュールという新キャラを持ってきているのだけど、これがちょっと消化不良。ワポルよりも凶悪な性格と能力を持っているということで一躍ルフィたちをピンチに・・・と思いきやそうでも無くあっさりとやられるし、もう少し存在感があっても良かった。みのもんたが声やってることにあとから気付くほどだったし。時間的に難しいのかもしれないけど、各メンバーの見せ場があまりなかったのも残念。原作が好きなら見ておいて損はないかもだけど、前作も「アラバスタ編」の再構成版だったし、劇場版に対するパワーがちょっと落ちてるような感は否めない。でもすでに次回作の予告が最後にあったのだけど、尾田栄一郎氏本人が書き下ろしたストーリーらしい。結構力入っているようで、こっちのほうが楽しみかな。来年に期待。