無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2011 in EZO感想(1)

■2011/08/12@石狩湾新港
 今年のRSRを語るのにはまず11日夜に行われた前夜祭から始めないといけない。EZOorDIEというサイトの管理人・エゾオア君が行っているイベントなのだけど、DIYでやってるとは思えない完成度と楽しさ。今回一緒にテント村を作ることになっている大阪クラスタの面々や、たくさんのフォロワーさんとも談笑しつつ楽しい時間を過ごさせてもらいました。COLONYはほぼ満員で、全員がフロアに降りるとものすごい暑さ。ラストのDJやついいちろうエレキコミック)は昨年のCDJで見たときと同様、笑わせつつも確実に踊らせてくれて楽しい。そしてイベント終了後、残った知り合いと談笑してるところで、その日着てた日本ハムファイターズの糸井ユニフォームに「RSRの妖精」祭太郎氏とやつい氏にサインをもらうことができた。ファイターズの選手のサインをもらう前に祭太郎やついいちろうのサインがでかでかと背中に。この時点で、今年のRSRはこのユニフォームで通すことに決めたというわけです。

 当日は、朝からいい天気。札幌駅で大阪クラスタの3名を拾って車で会場入り。例年のように、手前の駐車場に誘導しようとする係員の指示を無視し、一番近い駐車場へ直行。開場の1時間前、10時くらいに列に並ぶ。今年も「テントサイト券引換の列」と「引き換えない人の列」の二手に分かれていたのだけど、正直この区分けは意味があるのだろうか。というのも、開場したのはいいのだけど、とにかく列が進まない。引き換えない方の列はそれなりにサクサク行くのだけど、何がどう手間取っているのかもよくわからない。その間に、シャトルバス利用者用ゲートからどんどん先に人が入っていく。結局、シャトルバスから先に入場した友人にテントサイト券を渡し、うちらは引き換えない人の列に並んで入場した。で、入場ゲートのところも、いちいち係員がリストバンドひとりひとりつけてくれるのね。あれ、リストバンド渡してあとは自分でつけてね、ってした方が早いじゃない。フジとかそのパターンだよね。そうするとうまくつけられないだのなくしただのギャアギャア言い出す輩が多いんだろうけど、その程度のことで騒ぐやつはそもそもロックフェス来る資格ないよ。と、割り切ってしまえばいいのに。まあ、そうも言ってられないのかもしれないけど。この辺の手際の悪さは一向に改善されないなー。
 入場し、テントサイトを引きかえ、各々宅急便に荷物を受け取りに行ったり、レンタルテントを引きかえたりと着々と準備。合計で6区画のテントサイトに4つのテントを立てた。いつもは奥さんと二人で一つのテントだったのでこんな大人数でフェスに来るのは初めての経験。(今年は奥さんは都合で不参加)テント立てた後は各々食事に行ったり缶バッジガチャガチャに行ったりと自由行動。僕は別のフォロワーさんと合流し、一発目のビールで乾杯と食事。とにかくいい天気で、暑いし、フェス日和!という、久々?の好条件だったのでビールが美味い。このためにフェスに来てるというと言いすぎだが、酒飲まずして何がフェスだ、というのは真理だと思う。

 最初に何を見に行くかは決めかねていたのだけど、レッドスターにCaravanを見に行くことにした。ルーツミュージックに沿っていながら過度にレイドバックしない都会的な音がカラッと晴れたこの日の天気にめちゃくちゃハマっていた。抜けのいい音とメロディーを持つ現代のブルース。気持ちよかった。レッドスターの雰囲気にも最高に合ってたと思う。こういうアクトの時にシャボン玉が飛ぶといいよね。
 会場内をブラブラして時間をつぶし、続いてはムーンサーカスで在日ファンク。最近はドラマだけでなくバラエティにも進出しているハマケンだが、本業の方も注目度が高くなってきて勢いに乗ってるところ。相変わらずピッチピチのスーツに身を包み、キレのいいダンスを見せる。演奏やパフォーマンスはモロにジェームス・ブラウン直系のファンクそのままなのだけど、歌詞が日本語で、ちんちくりんな小さい日本人が歌うとこんなにも奇妙でオリジナルな音楽になってしまうという不思議。サイプレス上野とロベルト吉野もゲストで登場し、盛り上げてくれた(と言っても、ロベルト吉野は袖の方でビール飲んでただけだったけど)。「マルマルファンク」「城」「罪悪感」「最北端」「傷」など、新作からも含めきっちり聞かせる。ラストはコールアンドレスポンスも決まった「京都」。ダサいけどカッコいい。楽しい!と心から思えるステージ。今度は単独で見たい。

 ダッシュで怒髪天!と思ったのだけど、さすがに無理だった。とりあえずサンステージの方に向かって歩いて行くと、次に出るくるりがサウンドチェックで演奏していた。「太陽のブルース」をやってたんだけど、これがなかなかいい。メンバーが増えてからのくるりは見たことがないし、吸いこまれるようにサンステージに。新メンバーはギターとドラム、そしてトランペットだけれど、バンドの音の性格を決めているのはドラムだと思う。元々クラシック畑でパーカッションをやっていた人らしいけど、あまり音の押し引きがない。なので、ちょっとドタバタした乱暴な音に聞こえる。それが結果としてバンドに原始的な勢いのようなものを与えているという気がした。ただ、そういう目的だけでこのメンバーを入れたというわけでもないと思うのだけど、そのあたりは正直よくわからなかった。上手いだけなら他の人入れるよね。途中、高田漣がゲストで登場し数曲を一緒に演奏。味のあるペダルスティールを聞かせていた。ここで岸田がいきなり携帯を取り出して怒髪天の増子兄ィに電話。なんでも、二人で示し合わせて本番中に電話しようということだったらしい。が、ちょうど怒髪天はアーステントでの出番が終わった直後だったので、ステージ上での会話は失敗(笑)というオチ。新曲も披露し、これからのくるりはこういう形でやっていきますよ、というステージだったと思う。新メンバーの是非はともかく、岸田が終始えらい楽しそうに演奏してるのが印象的だった。

くるり Set List
1.ブレーメン
2.ワンダーフォーゲル
3.コンバット・ダンス
4.温泉(guest:高田漣
5.旅の途中(guest:高田漣
6.飴色の部屋(guest:高田漣
7.ばらの花(guest:高田漣
8.奇跡(guest:高田漣
9.いっぽ(新曲)
10.リバー
11.お祭りわっしょい
12.ロックンロール

 くるりの新メンバーのファンファンって女の子、別にブサイクってわけじゃないけど可愛いってわけでもなく。例えるなら、理系クラスの女子っていうか、女の子少ないし他に選択肢がないから「これでもアリだな」と男子に思わせる絶妙なラインの顔をしてる。と思った。新メンバーとしてがんばってほしいと思います。

 アーステント横のフードエリアでロコモコ丼食べた後、バンアパ見るためにレッドスターに移動。まだ時間前、のはずだけど普通に演奏してた。サウンドチェック、リハにしてはガチすぎ。カッコええ。改めて、時間になり再登場。最新作にして大傑作『Scent of August』はもちろん、過去作や震災のチャリティで出したシングルも含めた、現時点でのベストという感じのセットリスト。複雑な構成の楽曲をいとも簡単に演奏している(ように見える)、圧倒的な演奏力。ロックにおいても、テクニカルに過ぎると芸術品を鑑賞するような感じになってしまうこともあるのだけど、彼らの場合はきちんとそれが見る側にもカタルシスとして昇華されるので気持ちがいい。1曲の中にいくつも違う曲が混ざっているかのような、そして最初と最後で全く違う曲になってしまうようなこともあるのに、不思議とこれしかない、みたいな印象になってしまう。元々はメタルとかコアな部分から出ているバンドのはずだけど、今ではジャズやフュージョン、ソウルなど様々な要素がゴッタ煮になったユニークな音楽になっている。バックグラウンドにあるものが違うけれど、やっていることはバック・ドロップ・ボムなんかと近いのかもしれない、とちょっと思った。
 かまってちゃん見ようかどうしようか迷ったのだけど、テント村のみんなと酒かメシか行こうかということでテントに戻る。アーステントからテレフォンズが聞こえてきていた。話を聞くと、布袋寅泰がやたらよかったらしい。アンコールで「Dreamin'」とかやってたらしい。客に氷室パート歌わせて、自分はコーラスやってたらしい。とかいろいろ聞かされて、激しく後悔。いやでも、バンアパも良かったし。と、こういうのも含めてフェスだよね。
 結局テントでちびちび飲みながらウダウダ話をしているうちに夜は更け、稲川淳二に行こうかと思っていたけれどどうでもよくなり、最後はエゾオア君のテントでホルモンを焼いて食って1日が終わりました。続く。