無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

その先に目指すもの。

BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER
■2017/09/24@北海道立総合体育センター(きたえーる)

 会場は当然のように数千人規模のアリーナ。2DAYS。1曲目からガンガン飛び散る銀テープ、紙吹雪。前回の「WILLPOLIS」ツアーから登場した、色とりどりに光るリストバンドの演出。なんだかんだもう20年のキャリアがあるバンドなわけで、ファンの年齢層も広くなってきている。今のバンプしか知らない人からしたらこれが当たり前なのかもしれないけど、単純に客席から見える風景としては隔世の感というか、思えば遠くへ来たもんだ的な感覚にはなってしまう。
 『FLAME VAIN』『THE LIVING DEAD』の頃からバンプを聞いている人間にとっては、バンプというのはその人のパーソナルな部分と非常に強くつながっているバンドであって、多くの人と共有するというよりは一人で慈しむタイプのバンドだったと思う。少なくとも、そういうファンは多かったのではないかと思う。なのでライブにおいてもバンド対客席という感じではなく、一人対バンドのつながりが数百数千ある、という感じだったと思う。
 今のバンプのライブは集まっている個々の想いは様々あれど、見た目としては大きな空間で感動を共有する形になっている。僕のような人間はどうしてもそこ(感動の共有)に没入できないのだけど、それでもバンプバンプとしてこうした形でのアリーナライブをやるのは単に物理的な問題だけではなく、このサイズのライブでも観客一人一人との密なコミュニケーションを失わないという自信があるからじゃないだろうか。
 セットリストは全公演固定のパートとその日ごとに変わるパートがあるようだ。アンコールは数曲をローテーションしている模様。セットリストを調べるとその日ごとのパートでは割と昔の曲が選ばれる傾向があるように見える。それはオールドファンへの目配せというよりは、若いファンに向けて手を差し伸べているのかもしれない。この日のチャマのMCでも「とっておきの唄」をやった後、「もし今日初めてバンプのライブに来た人で知らない曲とかあったら周りの人に聞いてみて。「とっておきの唄」って言ってね、こうこうこういう曲でってうるさいくらい教えてくれるから」みたいなことを言っていた。
 中盤では花道を通って中央のサブステージで演奏していた。これも最近のアリーナツアーでは恒例の光景だが、今回はいつにもましてステージが狭かったように見えた。その分メンバー間の距離は近く、スタジオでリハーサルをやってるかのようだった。バンプオブチキンというバンドの特殊性は藤原基央の書く曲はもちろんのこと、メンバーの運命共同体感というか、他に取り換えのきかない一枚岩の部分が大きいと思う。その親密さや純粋さを20年経った今でも持てていることが彼らを特別なバンドにしているように思う。その親密さを広い会場でも観客一人一人と保とうとすること。それはとてつもない、無謀と言っていいことだと思うけど、バンプというバンドはそれをやろうとしているのかもしれない。他のメンバーがステージから去っても最後に一人、帰りたくないと言って手を振り続けていた藤原基央の姿を見て、そんなことを思った。

 あと、個人的には今年からネコを飼い始めたので「embrace」はヤバかったです。

■SET LIST
1.GO
2.天体観測
3.RAY
4.宇宙飛行士への手紙
5.とっておきの唄
6.記念撮影
7.pinkie
8.花の名
9.涙のふるさと
10.You were here
11.アンサー
12.ラフメイカー
13.宝石になった日
14.虹を待つ人
15.fire sign
16.リボン<アンコール>
17.embrace
18.ハルジオン

記念撮影

記念撮影